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『戦場のヴァルキュリア4』あえて間違えることもある?「小隊」が「Squad」に変えられた理由【ゲームで英語漬け#87】

わざと正確でない言葉に代えたのはどのような理由が考えられるでしょうか。

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『戦場のヴァルキュリア4』あえて間違えることもある?「小隊」が「Squad」に変えられた理由【ゲームで英語漬け#87】
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『戦場のヴァルキュリア』シリーズでは、英訳に関してある問題が挙げられています。それは、主人公の所属する「小隊」が「Squad」と訳されていることです。オリジナルの日本語版でウェルキン・ギュンター率いる第7小隊は「The 7th platoon」と表記されていましたが、英語版では「Squad 7」の表記に変更されました。『戦場のヴァルキュリア4』でもそれに倣い、E小隊も「Squad E」になっています。

一部のプレイヤーから誤訳であると指摘が出ていますが、企画段階でE小隊=Ez Platoonという名称が出ており、ローカライズの段階で意図して変更されたものです。何故あえてそうしたのか、軍の編成のルールと照らし合わせて考えてみましょう。

練習問題の解答

『Sherlock Holmes Chapter One』地中海はコスモポリス―道を行き交う民族の名前を覚えよう【ゲームで英語漬け#84】

問:
Sometimes, I truly believe Sherry can never be mistaken. I’m so proud to be by his side.

解答例:
時折、シェリーは絶対に間違いを犯さないんだと心から思うときがある。彼の側にいられることを誇りに思うよ。


「Platoon」ではなく「Squad」を選んだ理由を考える

『戦場のヴァルキュリア4』において、主人公クロードが率いるE小隊の所属は以下のように表記されます。

1st Company of the 32nd Armored Ranger Battalion, 1st Combat Brigade, 101st Division, Edinburgh Army

「エディンバラ軍 第101師団 第1戦闘旅団 第32機甲レンジャー大隊 第1中隊」と、全部合わせると非常に長くなりますが、階層を一つずつ追っていくとこうなります。同じ階層のユニットを複数束ねた物が一段階上のユニットとして扱われ、指揮官の階級が高いほど大きなユニットを指揮します。「Division(師団)」に編成される人数はおよそ10,000人に上り、「Platoon(小隊)」は中隊の下で約30~50人の規模を動かします。小隊以上のユニットに於いて指揮官に任命されるのは、士官学校で教育を受けた「Commissioned officer(士官)」の最も階級が下である尉官です。

一方「Squad」は小隊の下に当たる「分隊」で、10名前後で1ユニットを成します。小隊以上とは明確な一線があり、隊長になるのが士官ではない「Non-Commissioned officer(下士官)」であることです。士官学校を経たエリートではなく、現場で功績を挙げた曹長や軍曹が少人数を率いるユニットになります。

下士官は功績によっては士官と同等の「准士官」に任ぜられることもありますが、士官学校を出たエリートとはかなり差を付けられます。よって、士官が率いる「Platoon」と下士官が率いる「Squad」とでは単純に階級が1つ違うと言うだけでない大きな壁があるのです。

クロードは士官学校を出た「First Lieutenant(中尉)」であり、入隊するメンバーが総勢50人以上になるE小隊は「Platoon」であるのは間違いありません。征歴ヨーロッパでは運用が異なると解釈することもできますが、なぜわざわざ当初の日本語版と違う「Squad」の表記に変更したのでしょうか。これはおそらくゲームシステムと分かりやすさとの兼ね合いだと推測できます。

プレイヤーがゲーム中でできるのは、小隊の中からメンバーを選抜し、マップ上で10名を操作して戦うことです。これは部隊の規模で言えば分隊1つを編成して戦っているのと同じであり、複数分隊の30人以上に指令を出す小隊としての戦いはシステム上でやっていないのです。

そのため、プレイヤーの操作する部隊を「Platoon」と表現するとゲームシステムとの乖離が生じてしまいます。台詞では「Platoon」と言っているのに戦闘場面では「Squad」の人数しかいない、気になる人には盛り下がるポイントですね。

隊全体を「Platoon」、出撃メンバーを「Squad」と呼び分けることもできるでしょうが、そうすると日本語ベースであるため台詞がややこしくなるので、台詞の「小隊」全てに「Platoon」と「Squad」のどちらかを当てはめるしかありません。となれば「Squad」を指揮するゲームだと分かる方が良い、そのような判断があったのかもしれません。

もちろんこれらの用語は正確であることに越したことはありません。ですが作品内の表現とずれが起きるケースもあり、正確性よりも雰囲気に合わせた方が良いときもあります。特にゲームではシナリオの表現とゲームシステムの表現が一致しないこともしばしばで、『戦ヴァル』では少人数の戦いにフォーカスするため用語を変えたと考えられます。どちらを選択するにしても、観賞する人の印象を考慮する判断が翻訳者に求められるのです。

覚えておきたい英単語集

  • Scout:偵察兵

  • Shocktrooper:突撃兵

  • Lancaar:対戦車兵

  • Engineer:支援兵

  • Sniper:狙撃兵

  • Grenadier:擲弾兵

  • Mortar:迫撃砲

  • MIA:行方不明(Missing In Action)

  • Atlantic Federation:大西洋連邦機構

  • the East Europan Imperial Alliance:東ヨーロッパ帝国連合

練習問題:次の英詩を日本語訳しなさい。

(Excerpt from the Anthem of Atlantic Federation)
In the name of peace and equality
We join hands in brotherhood
To defend these ideals from evil
Will we stand and fight

フェイズ切り替えのところに小さい文字で書かれている英文です。連邦と帝国両方あるので、帝国の方にもチャレンジしてみましょう。


《Skollfang》

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