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「もっと自由に宝石を見たい」「宝石カットという文化の豊かさを伝えたい」――採掘・加工・展示まで楽しめる『RigidGems Museum』とは【インタビュー】

技術デモにとどめず作品へ。15年以上の研究をどうゲームとして成立させたのかを紐解くインタビューです。

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「もっと自由に宝石を見たい」「宝石カットという文化の豊かさを伝えたい」――採掘・加工・展示まで楽しめる『RigidGems Museum』とは【インタビュー】
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宝石をただ「眺める」ことに、ここまで向き合った作品は珍しいかもしれません。『RigidGems Museum』は、採掘し、カットし、そして並べて観察する――そんな一連の行為そのものを楽しむことを軸に据えたタイトルです。

なぜ“観察すること”がゲームとして成立するのか。なぜ収集や加工だけでなく、「見比べること」に大きな価値が置かれているのか。本稿では、開発者のFerioWorksに話を伺いながら、『RigidGems Museum』が目指した体験と、その背景にある設計思想を紐解いていきます。

高価で限られた場所でしか見られない宝石を、もっと自由に観察できる形にしたい

――そもそも『RigidGems Museum』はどのような発想から生まれた作品なのでしょうか。まず、このゲームを作ろうと思ったきっかけを教えてください。

FerioWorks:本作は、もともと2008年に始めたリアルタイム宝石描画の研究が原点です。当時から、高価で限られた場所でしか見られない宝石を、もっと自由に観察できる形にしたいと考えていました。

現実の宝石は、近づいて細部まで見たり、好きな角度から長時間眺めたり、照明条件を変えて比較したりすることが簡単ではありません。たとえば有名な宝石でも、実際に見に行くには時間も費用もかかりますし、展示環境の中で自由に鑑賞できるわけではありません。その点、CGであれば拡大し、回転し、光の当たり方を変えながら、宝石の見え方そのものをじっくり味わうことができます。

私は、その「もっと自由に宝石を見る体験」を、単なる技術デモではなく、ひとつの作品として形にしたかったんです。長年続けてきた独自研究を、一般のプレイヤーが触れられるインタラクティブ作品へ再構成したものが『RigidGems Museum』です。

――宝石や鉱物、そしてカットそのものをゲームの中心に据えるという発想はかなりユニークです。なぜこの題材を選んだのでしょうか。

FerioWorks:宝石は、素材、形、光の三つが密接に結びついていて、リアルタイム描画の題材としてとても面白い存在だからです。同じ鉱物でもカットが変わるだけで印象がかなり変わりますし、同じカットでも鉱物が変われば光の返り方も変わります。

本作では、宝石をただ眺めるだけではなく、採掘して、カットして、完成したものを収集・展示する流れをひとつの体験として設計しています。現実の宝石の魅力を、できるだけ無理のない形で多くの人に楽しんでもらうには、この題材がいちばん自然だと感じました。

――本作は、競争やスコアではなく、採掘し、加工し、観察し、展示することそのものを楽しむ作品として設計されているように見えます。プレイヤーにどのような体験を届けたいと考えていましたか。

FerioWorks:本作はチーム開発ではなく、私一人で作っている個人開発作品です。だからこそ、競争よりも、まず自分自身がじっくり鑑賞したくなる作品にしたいという思いが強くありました。

希少な鉱物を見つけて、カットを試して、完成したルースを眺めて、自分なりの配置で展示する。そういう静かな積み重ねそのものを楽しんでもらいたいと思っていました。ゲームの中でまで常に他人と競う形にはしたくありませんでした。自分のペースで観察し、集め、少しずつコレクションを育てていく。そういう落ち着いた時間こそ、本作の価値だと感じています。

――『RigidGems Museum』では、収集だけでなく展示までをひと続きの体験として設計しています。その理由を教えてください。

FerioWorks:採掘して終わり、加工して終わりでは少しもったいないと思ったんです。宝石は、手に入れた瞬間で終わるものではなく、並べて見比べたり、配置を工夫したりすることで魅力が深まる題材だと感じています。そこで本作では、採掘と加工の先に「展示」を置きました。

実在のカットデザイン、58種類の鉱物、そしてさまざまな見え方の組み合わせを、自分なりの視点で選び取って展示空間にしていく。そうすることで、単なる収集ではなく、プレイヤー自身の感性が反映されたデジタル宝石ミュージアムになると考えました。本作では、「どの鉱物を」「どのカットで」「どう並べるか」まで含めてコレクション制作になるようにしています。

――527種類ものカットを実在のデザイナーから正式にライセンスしているとのことですが、ここまでこだわった理由は何でしょうか。

FerioWorks:宝石を見ていて、結局いちばん印象を変えるのはカットだと私はずっと感じてきました。だからここは外せませんでした。

宝石描画の研究を進める過程でラピダリーの世界に触れて、そこに非常に多彩で美しい設計文化があることを知りました。単に形状データとして消費するのではなく、実在のデザイナーや権利者の方々の許諾を得たうえで、その多様性をきちんと作品の中で見せたかったんです。

正式版では527種類のカットを収録していますが、量を並べたいからではありません。宝石カットという文化そのものの豊かさを、できるだけ伝えたかったからです。

――美しい宝石表現を実現するにあたって、特に苦労した点はありますか。

FerioWorks:個人開発なので、エンジンからゲーム部分まで全部を一人で積み上げる必要がありました。その中でいちばん苦労したのは、物理的な説得力とリアルタイム作品としての成立を両立させることでした。

宝石は反射、屈折、吸収、内部での見え方の変化など、見た目を決める要素が多く、しかもハードウェアの性能差も大きい題材です。そのため、どこに計算資源を使えば「宝石らしさ」が最も伝わるのかを長年試行錯誤してきました。

本作では独自エンジンで、宝石内部の反射、屈折、分散、吸収、さらにインクルージョンによる見え方の変化までリアルタイムに描画していますが、そこに至るまでにはかなり長い試行錯誤がありました。

――最後に、『RigidGems Museum』を通じて、どのような体験をプレイヤーに届けたいと考えていますか。

FerioWorks:私が本作を通じて届けたいのは、慌ただしく消費する時間ではなく、少し立ち止まって美しいものを観察する時間です。採掘し、加工し、並べ、眺める。その繰り返しの中で、自分なりのコレクションや展示の意味が少しずつ立ち上がっていく。そういう時間を届けたいと思っています。

『RigidGems Museum』は、15年以上続けてきた独自研究を土台に、ひとりで積み上げてきた個人開発作品です。鑑賞、収集、展示、技術観察を同時に成立させ、それらがひとつの体験としてつながっていることが、本作ならではの価値だと考えています。

――ありがとうございました!


『RigidGems Museum』は、PC(Steam)向けに配信中です。

ライター/編集:みお

ライター/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

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