名作へのリスペクトが光る、恐怖の語り部ホラーノベル『恐怖夜話』プレイレポ。海と山、二つの恐怖が入り混じる…… | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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名作へのリスペクトが光る、恐怖の語り部ホラーノベル『恐怖夜話』プレイレポ。海と山、二つの恐怖が入り混じる……

どこか不気味な旧館の合宿所で、恐怖の体験談が語られる…。

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名作へのリスペクトが光る、恐怖の語り部ホラーノベル『恐怖夜話』プレイレポ。海と山、二つの恐怖が入り混じる……
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『弟切草』を皮切りに、スーパーファミコンや初代PlayStationを中心に流行したホラーサウンドノベル。チュンソフトの『かまいたちの夜』やパンドラボックスの『学校であった怖い話』、アテナの『夜光虫』やトンキンハウスの『黒ノ十三』など、様々な名作が世に放たれました。現在でも、鬱ゲーとしての紹介や『かまいたちの夜×3』『鳴神学園七不思議』などのリマスター、精神的続編の発売で注目を集め、1ジャンルとして存在感を放っています。

そんなホラーサウンドノベルから、ひめこ氏によって新たに『恐怖夜話』が発売されました。本作はスーパーファミコン、初代PlayStationの名作にリスペクトを受けたことを公言しつつ、1時間程度で完結できる短編サウンドノベルとして発表されています。このプレイレポでは、そんな本作のリスペクト要素や本作独自の魅力を、ギュッと詰め込んでお話していきます。

名作ホラーの香り漂う、強いリスペクト要素

本作は、旧館の合宿所に泊まることになったサッカー部の学生3人が、深夜に夜更かしのために怪談をするところから始まります。「主人公(命名可能)」「池田」「吉井」の3人が話をしようとすると、見回りをしていた「先生」が部屋に入ってきます。

先生は夜更かししていることを注意するも、怪談をしようとしていたことを知ると逆に乗り気になって、体験した怖い話をしてくれます。主人公含む3人は、先生の「こんな場所なんだ、何が起きても不思議じゃない」という意味深な言葉を聞きつつも、話にのめり込んでいきます。

ここまでがあらすじなのですが、この時点で本作の名作に対するリスペクトが2つ見つけられます。

1つ目が、名字のみながら主人公の名前を設定できる点です。名前が変更できる要素はホラーノベルではお馴染みの機能で、『弟切草』や『学校であった怖い話』では主人公の名前が、『かまいたちの夜』では主人公と恋人の二人の名前が設定できます。これにより自分が世界に入ったような没入感を得られ、ホラーの臨場感が増します。

本作では「南」というデフォルトネームが設定されており、名前を思いつかないプレイヤーにも優しいのですが、これも『学校であった怖い話』の「坂上修一」や『晦 ーつきこもりー』の「前田葉子」のようなデフォルトネーム文化のリスペクトと捉えることができます。

2つ目が、実写を使ったキャラクター表現です。本作は背景に一部AIが使われているものの、語り部として登場する先生は実際のキャストを採用して表現されています。『学校であった怖い話』『晦 ーつきこもりー』『四八(仮)』では各語り部の立ち絵は実写であり、キャストの顔がそのまま一人のキャラクターとして言動とリンクしていました。

本作での立ち絵のあるキャラは先生のみですが、怪談を話す前の飄々とした笑顔とどこか重苦しい俯いた表情は、彼の本来の明るいキャラクター性と、これから話す怪談に対しての複雑な感情がにじみ出ています。

強い不気味さを持つ、海と山の物語

さて、いよいよ先生の怪談の中身を覗いていきます。先生の怪談は最初の質問の「海と山、どっちが好きなんだ?」に対する回答で、海の物語と山の物語の2つに分岐します。海の物語は先生の学生時代の話、山は先生が大人になってからの話と、時系列が違うもののどちらも不気味な雰囲気がただよっており、プレイヤーの不安感をしっかりと煽ってくれます。

海の物語では、学生時代の先生と3人の仲間たちが、荒れている海の立ち入り禁止区域に入ってしまうところから始まります。彼らはテトラポットの影に謎の赤いシートに包まれた小包があるのを発見します。不思議に思って棒でつついてみると、そこからは人間の手と頭部、そして不釣り合いな貝殻が入っていました。4人は怖くなって合宿所に逃げ帰ってしまいます。

それから時間がたって、就寝時に先生は赤い小包の夢を見て夜中に目覚めてしまいます。すると、隣の仲間たちが寝ている部屋から水音と呻くような声が聞こえてきて…。

山の物語では、成長した先生が仲間たちとキノコ狩りに行き、一人遭難してしまいます。そこで出会ったのは赤い布を着た3人の怪しい人物。出会わないように獣道を進むも彼らと鉢合わせてしまい、逃げ回って余計道に迷ってしまいます。

そんな折、先生の目の前に廃墟が現れます。外で一夜を明かすよりは安全だと入ってみるも、中ではオルガンが突如鳴り響いたり、入ってきた穴が急になくなったりと心霊現象に見舞われます。最終的には赤い布の人物が襲い掛かってきて……。

海の物語では、触れてはいけないものに触れるという好奇心が、悪い方向へと動いていく様が見事に表現されています。夜の合宿所での出来事は臨場感があり、隣の部屋での音だけ聴こえる文章は、プレイヤーの不安感を煽ります。山の物語では、怪しい人に出会ってしまった違和感と恐怖、廃墟に入るまでの山の自然的な恐怖、廃墟に入った後の心霊的な不気味さなど、怖さのベクトルが切り替わるシーンが多く、バリエーションに富んでいます。

短い時間の中でプレイヤーの恐怖を多種多様に煽る演出は、まとまっており非常にきれいです。どちらも恐怖演出の中心は心霊的でありながら、人間の好奇心や怪しい人物の動きなど、様々な視点を用いてプレイヤーを怖がらせようとしてくるので、刺さりやすくなっています。また、先生側から質問が投げかけられることもあり、語り部ホラーでしかできない演出もしっかり意識されています。

物語に混ざる違和感・そして交錯する真実へ

こうして主人公含めた3人は、海の物語と山の物語をそれぞれ聞いていくわけですが、プレイヤーはこの話にかすかな違和感があることに気づきます。それも違和感のある個所は1つではなく、複数存在しています。山の物語では生臭い海藻の匂いがするシーンがあるうえ、赤い布の人物が歩いてくるときにヒタヒタと鳴る水音が山の話にしては不釣り合いです。海の物語ではしないはずの山の杉の臭いがしたり、先生たちのトラックについていた赤い土が山のものであると判明したりと、こちらも怪しいシーンがあります。

どちらも山と海が交錯するような要素があるのですが、先生が語る中ではあくまで違和感として語られる程度であり、明確におかしいとは言われません。また、海の物語と山の物語は年月が経ちすぎており、関連性があるとは考えにくいです。しかし、二つの物語を終えた後にメニューから出現する「供養する」という選択肢を選ぶことで、この物語が同時刻に先生から語られており、自分と池田と吉井がそれぞれ海の話、山の話、水音のモノマネを聞いていたことが判明します。

同じ時間に話を聞いていたはずなのに、なぜか噛み合わない会話。今泊まっている部屋にある謎のオルガン。先生が話し終わった後にする、どこか悲しげな表情。時間軸が違う二つの物語は、合宿所を中心に3人と先生をも巻き込んで、大きな考察へと繋がっていきます。

この展開は名作サウンドノベルにもないような独特さで、個人的にかなりツボでした。

『学校であった怖い話』『晦 ーつきこもりー』では語り部の順番によって話の内容が変化します。2作では語り部が体験した話は当然出てきますし、特殊なルートでは順番に応じて複数の話の結末が繋がることはありましたが、本作のように語った内容が直接リンクするようなことはありませんでした。また、周回ごとの内容はリンクしないため、一人の語り部の話がリンクすることはありません。

それに対して、本作は同じ人物の語る話が時間軸も超えてリンクしていくため、最後に驚かされます。何より、本作では「何が起こったのか?」を誘導されつつも解いていくような推理要素があるため、語り部ホラーだと思っていたプレイヤーがジャンル的な驚きを感じられるようになっています。『学校であった怖い話』の殺人クラブのような、ジャンルが変わる新鮮な驚きを感じられました。2つの物語に残った違和感、それらを交錯させまとめ上げることで、物語は新たな事実を突きつけ、最後まで物語は進んでいきます。結末は皆さんの目で確かめてみてください。

クリアまで1時間程度ですが、立ち絵や背景の贅沢さに舌を巻いたり、語り部ホラーの面白さを味わったり、考察と物語のリンクに驚かされたりと、序盤から終盤まで内容たっぷりで楽しめる素晴らしい作品でした。何より、語り部ホラーとして実写の表現を活かして出してくれたことに、歴代作品への強いリスペクトを感じられました。

そんな傑作『恐怖夜話』は、Steamにて配信中です。

ライター:なるぼぼ,編集:みお

ライター/不思議なゲームに興味津々 なるぼぼ

ADV、サウンドノベル、JRPGなどを中心に遊んでいます。ベストゲームは『デジタルデビルサーガ アバタールチューナー2』。2025年は『YIIK;A Posumodern RPG』に脳を焼かれました。2026年からGame*Sparkにて活動開始。趣味でPS1、PS2のゲームを買い漁っては積みまくっています。

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編集/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

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