
先日、『アーマード・コア』シリーズへの独自の視点からの言及をきっかけに、多くの日本人から「ロボゲー・ロボアニメ詳しすぎな外国人」として知られるようになったオリー・バーダー氏。実は、氏はゲームやアニメを中心として日本サブカルを海外に長年伝えてきた記者であり、様々なタイトルにかかわってきたゲームクリエイターでした。
弊誌の取材に対して、そんな氏がこぼした最近の悩みと言えば「ロボゲーを作らせてくれるスタジオが見つからない!」ということなのだそう。そこで、本稿では、氏の文章を通じて、氏のもつ「ロボゲー・ロボアニメ」への視点や美学の一端をお伝えしていきたいと思います。
2020年に『ガンダム エクストリームバーサス マキシブーストON』がPlayStation 4向けに発売された際、私はこのゲームを徹底的にレビューしました。本作が真のマルチプレイヤーの傑作であると説明した一方で、海外におけるこうした作品の普及には、まだ改善の余地があるとも感じています。
――実は、このような『ガンダム』ゲームは、海外においてはかなり断続的な歴史をもっていたのです。日本のファンに愛される「必須級」の作品の多くは、しばしば日本国外で発売されることがありませんでした。
PlayStation 2時代には、初期の『ガンダム VS.』シリーズが海外でも発売されましたが、その評価は賛否が分かれていました。
というのも、海外におけるロボットゲーム(メカゲーム)の一般的な認識は「シューティングゲーム」であるべきというものであり、アリーナ形式の対戦アクションは、その文脈では少し奇異に映ったのです。
その結果、初期の『ガンダム VS.』作品群は、目指していたものに対して正当に評価されず、その本質も十分に理解されませんでした。加えて、『機動戦士ガンダム』の原作アニメ自体も当時は広く視聴可能ではなかったことも影響していました。
もちろん、私は当時、PlayStation 2やPlayStation Portable向けの『ガンダム VS.』シリーズ作品を喜んで輸入し、その素晴らしさを熱心に周囲へ語っていました。そして、その後に登場したのが、PlayStation 3向けの『ガンダム エクストリームバーサス』でした。
大きな機会損失

2011年に初代『ガンダム エクストリームバーサス』が発売された際、海外ファンの間で熱心かつ情熱的な支持層が形成され、それは現在まで続いています。
本作はBykingによって開発され、機能面において従来の『ガンダム VS.』シリーズから大きな飛躍を遂げた作品であり、ある意味では『バーチャロン オラトリオ・タングラム』の精神的後継作とも言えるものでした。
まず、ブースト機構は従来の『ガンダム VS.』シリーズと比べて大幅に洗練されていましたが、それに加えて「虹ステップ(レインボーキャンセル)」の存在が、すでに非常に完成度の高いゲーム性にさらなる複雑さと奥深さを加えていました。
また、初代『ガンダム エクストリームバーサス』におけるもう一つの特徴は、オープニングムービーに使用された楽曲がリンキン・パークの「The Catalyst」だったことです。

さらに、バンド側も『ガンダム0083』時代の地球連邦軍制服をメンバー全員が着用したアートワーク付きの特別版楽曲をリリースし、それに合わせて「ガンダム試作1号機フルバーニアン(GP01 Fb)」の特別キットも発売されました。
加えて、本作はPlayStation 3向けタイトルであり、リージョンフリーだったため、海外ファンでも輸入して遊ぶことが可能でした。そして、リンキン・パークとのコラボレーションもあったことで、私たちは皆、この作品が正式に海外展開されるものだと当然のように考えていたのです。
しかし、その予想は完全に外れました。
非常に奇妙だった『Rise of Incarnates』
『ガンダム エクストリームバーサス』を単純に翻訳して海外展開するのではなく、バンダイナムコはまったく別のゲームを新たに制作する道を選びました。ただし理論上は、同じゲームメカニクスと機能性を用いて。
そこではメカ要素は完全に姿を消し、その代わりに奇妙な人間型スーパーヒーローたちへと置き換えられていました。私の推測では、当時のバンダイナムコ海外部門の経営陣は、「ガンダム」の魅力を知らなかった、あるいは理解しておらず、メカ要素を排除しつつ『ガンダム エクストリームバーサス』に着想を得た完全新作の方が、安全な選択肢だと判断したのだと思います。
さらに、本作は基本プレイ無料(Free-to-Play)モデルとして展開されましたが、案の定、結果としてはかなり厳しいものとなりました。

まず第一に、海外のゲーマーたちはすでに『ガンダム エクストリームバーサス』の存在を知っており、それに関心を持っていました。また、リンキン・パークの楽曲がゲームに採用されていたことも比較的広く知られていました。そのため、多くの海外ゲーマーにとって、なぜバンダイナムコが代わりにこの新作を作ったのか、まったく理解できなかったのです。
当然ながら、Free-to-Play型のマネタイズを採用していたこともあり、海外での評価は芳しくなく、2015年7月のサービス開始後、その年の12月にはサービス終了となりました。
バンダイナムコがようやく海外ゲーマーの求めているものを理解するまでには、さらに5年を要することになります。しかし、その前にもう一つ奇妙な失策がありました。
「うちにある『ガンダムVS.』」

海外でよく知られているミームの一つに、ファンが「○○が欲しい」と頼んだ際、親が「うちにあるでしょう(We have that at home)」と答え、実際の「うちにある版」が本来欲しかったものの劣化版でがっかりする、というものがあります。
2017年の『GUNDAM VERSUS』は、まさにそのミームを体現したような存在でした。本作自体はかなり良作であり、『ガンダム エクストリームバーサス』の基本システムをほぼ踏襲していましたが、全体としてはやや無難で型通りな印象もありました。
それでも私は本作を好意的にレビューしました。というのも、ゲームとしては間違いなく良作だったからです。しかし、多くのファンと同様に、私たちは依然として“本物の”『ガンダム エクストリームバーサス』の海外展開を望んでいました。
ただ、『GUNDAM VERSUS』について興味深い点が一つあります。私はかなり高い確信を持っていますが、本作は現在日本のアーケードで稼働している『ガンダム エクストリームバーサス2』のためのエンジンおよびツールセットのテストベッドとして使われたのではないかと思っています。
実際、新しいアーケードゲーム基盤を本格的に投入する前に、家庭用タイトルを通じて負荷試験を行うというのは、非常に理にかなった、しかも賢明なやり方です。
いずれにせよ、『GUNDAM VERSUS』は決して悪いゲームではありませんでした。しかし、『ガンダム エクストリームバーサス』が正式に海外展開されるまでには、なお数年を要することになります。
『ガンダム エクストリームバーサス マキシブーストON』の圧倒的完成度

初代『ガンダム エクストリームバーサス』の発売から約10年後、ついに海外ファンもPlayStation 4で『ガンダム エクストリームバーサス マキシブーストON』を自宅で遊べるようになりました。
本作は非常に熱心なファンコミュニティに迎えられ、長年にわたり海外プレイヤー向けにゲームシステムの研究や解説が積み重ねられてきました。
また、本作は英語に翻訳されながらも、日本語音声が維持されていました。これは非常にうまく機能しました。というのも、海外のアニメファンやガンダムファンの多くは、日本語音声で作品を楽しむことを好む傾向があったからです。
私自身、本作を隅々までプレイし、ミッションモードもすべてSランクを達成しましたが、これは本当に素晴らしい体験でした。
しかし、何より大きかったのは、ついに友人たちへこのゲームを紹介でき、本来のアーケード版『ガンダム エクストリームバーサス』を、完全な英語翻訳付きで遊んでもらえるようになったことです。
さらに、『ガンダム エクストリームバーサス』の海外コミュニティも非常に情熱的で、EVOのような大会イベントへの採用を目指して活動を続けており、近年では実際に成功を収めています。
世界のゲーマーの共通言語的作品シリーズになるために
しかし、2026年現在、このシリーズが世界的により広いユーザー層を得るために二つの大きな障壁があります。
第一の問題は、プラットフォームの問題です。
もう少し具体的に言うならば、『ガンダム エクストリームバーサス マキシブーストON』をSteamで展開する必要があるということです。Steamは海外において非常に包括的かつハードウェアに依存しないプラットフォームとして認識されているため、本作に興味はありつつも踏み切れていない潜在的プレイヤー層に大きく訴求できるはずです。
また、スイッチ2での発売も、新規かつ若いプレイヤー層をシリーズに取り込む助けになるでしょう。特に携帯可能なハードである点は大きな利点です。
第二の問題は、多くの海外ファンが『ガンダム エクストリームバーサス2』が依然としてアーケード限定、しかも実質的に日本国内のみで展開されている現状を目にしていることです。
海外にも同作を設置しているゲームセンターは存在しますが、その数は非常に限られており、日本におけるシリーズ人気や前述した海外コミュニティの動きとは裏腹に、実は大多数の海外ゲーマーにとっては、現行のシリーズ自体がアクセス困難な存在です。
私としては、第一の課題――すなわち『ガンダム エクストリームバーサス マキシブーストON』をスイッチ2およびSteam向けに発売すること――は、比較的実現しやすい話だと思っています。
しかし、現行アーケード作品を海外でも遊べるようにするという第二の課題は、より複雑で難しい問題です。
そのため現時点では、『ガンダム エクストリームバーサス マキシブーストON』をスイッチ2とSteamで展開することが、海外におけるシリーズの発展を大きく後押しし、新たなプレイヤーを数多く呼び込む助けになると私は考えています。
オリー氏とともに「ロボゲー」を作ることに興味のあるスタジオや団体は、この記事の末尾にある氏のプロフィールから個別に問い合わせていただけますと幸いです。










