気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Tim Trankle氏開発、PC向けに6月4日にリリースされた短編深海ホラー『There's Nothing Down There』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、深海を舞台とした短編ホラーゲーム。プレイヤーは海底の奥深くにある洞窟へと調査に赴き、そこで太古に失われた文明の巨大な構造物を発見します。ありふれた調査業務として始まった仕事は、やがて歴史的な大発見と危険に満ちた旅へと変貌を遂げていきます。クリアまでは30分ほどを想定。記事執筆時点では日本語未対応です。
『There's Nothing Down There』は、264円で配信中。


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Timこんにちは!Tim Trankleです。『There's Nothing Down There』の開発者で、これまで3Dアーティストとして10年間活動してきました。これまでにいくつかのゲームプロジェクトに関わってきましたが、その中でも最大のものはMMOゲームの『Infinite Fleet』です。今回の『There's Nothing Down There』は、私にとって初めての個人プロジェクトになります。
一番好きなゲームは、2003年にリリースされた『Metal Arms: Glitch in the System』という、少し古い三人称視点シューティングゲームです。
――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
Tim『There's Nothing Down There』のゲームシステムは非常にシンプルですが、その分、世界観や設定に最も力を入れています。本作は、古代のエイリアンが残した巨大構造物を発見する、深海探索ゲームなのです。巨大な機械と深海という世界を融合させている点が、本作の特徴となっています。
ゲーム内のアイデアの多くは、いくつかの目標をもとに組み立てられました。1つ目は、「何かに追いかけられるという恐怖がないホラーゲームを作りたい」という思いです。そしてもう1つ重要だったのは、「怪物を圧倒的に巨大な存在にしたい」ということでした。ネタバレにならない範囲で言うと、あまりの大きさに、もはやその「場所」の一部であるかのように感じられるような、そんな敵を作りたいと考えたのです。
――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?
Tim本作が最初に発表された時、多くの人が「『Iron Lung』と『サブノーティカ』を掛け合わせたような作品だ」と表現してくれました。確かにその2作は間違いなく大きなインスピレーションの源ですが、実は誰にも指摘されていない、最大のインスピレーションの源となったゲームは『Debris』です。2人のダイバーが、生物を凶暴化させる原因となった小惑星の衝突跡を調査するため、洞窟の深部へと潜っていくという作品です。
そしてもう一つ、実は『怪盗スライ・クーパー』シリーズからも影響を受けています。意外に思われるかもしれませんが、このシリーズでは巨大な機械の間を縫うように移動したり飛び移ったりする場面がよくあります。私はプレイヤーの皆さんに、ただ通路や広い部屋を探索させるだけでなく、今なお稼働し続けているエイリアンの巨大構造物の一部をかいくぐって進むような体験をしてもらいたかったのです。

――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。
Tim1つを選ぶのは難しいですが、最もインパクトがあったのは、メインの敵と遭遇するシーンで行った、ごく初期のテストプレイの時ですね。その敵との遭遇がどのようになっているのか、ネタバレは避けますが、テストプレイヤーが「敵からの攻撃を絶対に喰らわなくなる方法」を、意図せずあっさりと見つけてしまったのです。これは目から鱗が落ちる出来事でした。机の上ですべてのシステムが完璧に機能しているように見えても、実際のプレイで同じように動くとは限らないのだと痛感させられたからです。
この件やその他のテストプレイを経た結果、自分が理想とするゲームプレイ体験を実現するために、敵や環境に対して何十もの細かなデザインの選択や調整を重ねることになりました。お話しできる一つの小さな例だと、メインの敵と遭遇するエリアの壁には、たくさんの小さなライトが設置されています。これらは装飾用という面もあるのですが、実は極めて重要な役割も担っています。このエリア全体が完全に真っ暗なため、プレイヤーが「壁がどこにあるのか」をわかるようにし、さらに潜水艦がいつ、どれくらい旋回したのかを把握しやすくするためのものでもあるのです。初期のテストでは、このライトが追加される前だったため、プレイヤーが一瞬でも気を取られるとすぐに自分がどこにいるかわからなくなってしまい、非常に苦労していました。
――リリース後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。
Timレビューのフィードバックは、かなり一貫しています。皆さん、本作の雰囲気や、エイリアンの構造物がまとう神秘的な空気感をとても気に入ってくれています。特に「エネルギールーム」を発見するシーンは、見どころの一つとしてよく挙げられますね。
一方で、潜水艦の操作が少しぎこちなく、動きが遅く感じられるという意見や、メインの敵との遭遇については評価が分かれています。最高にクールだと感じてくれる人もいれば、どうすればいいかわからず戸惑ったり、ストレスを感じたりする人もいるようです。
最も印象的だったフィードバックは、ゲーム内の環境や世界の設定をほのめかすために私が隠しておいたいくつかのヒントを、正確に解読してくれた人たちがいたことです。私の知る限り、まだすべてのヒントが発見されたわけではありませんが、私が残したヒントをつなぎ合わせようとプレイヤーの皆さんが挑戦してくれているのを見るのは、本当に素晴らしい気持ちです。
――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。
Timプレイヤーの皆さんから最も要望が多い機能はネイティブVRへの対応で、今後数ヶ月のうちに実装したいと考えています。私自身、これまでVR向けの開発経験がないため、どれくらいの時間がかかるかは見当もつきませんが、本作はすでにVRと非常に相性が良いと思っています。本作は椅子に座った状態でプレイするゲームですし、ゲーム内のUIはすべて潜水艦内にあるモニターに表示されています。これこそ、まさにVRにうってつけですよね。
その他のフィードバックの多くは、本作のゲームデザインに深く関わるものだったため、今から大きく変更することはできません。しかし、それらは現在構想を練っている本作の「続編」でどのような変更を加えるべきかを示す、素晴らしい指針になってくれています。
――本作の日本語対応について教えてください。有志翻訳は可能ですか?
Tim現時点で、本作はまだ日本語に対応していませんが、公式の日本語翻訳の配信を予定しています。7月下旬頃、他のいくつかの言語と合わせて日本語が追加される予定です。これにはゲームのUIと字幕が含まれます。なお、現時点では日本語のボイスを追加する計画はありません。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Timもちろんです!すでに多くの方々が本作を配信してくださっており、私はいつも本当に楽しく拝見しています。
もし、読者の皆さんの中に「このゲームを配信したい」「YouTubeに動画をアップロードしたい」と思っている方がいらっしゃいましたら、新しくゲームを始める前に、ゲーム内のオーディオ設定で必ず「配信者モード(Streamer Mode)」を有効にするようにしてください。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Tim最後まで読んでいただき、ありがとうございます!日本で本作がこれほど大きな反響を呼んでいることに、心地よい驚きを感じています。実は、『There's Nothing Down There』について最初に投稿してくれた大きなSNSアカウントは日本のものだったのです。それがきっかけで、一気に注目が集まり始めました。
皆さんに本作を楽しんでいただけることを心から願っています!そして、7月下旬には公式の日本語翻訳が追加されることも、ぜひ楽しみにしていてくださいね。
――ありがとうございました。


◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に1,000を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。








