
7月10日に突如として配信されたTreyarch開発の『コール オブ デューティ ブラックオプスII』(以下、BO2)。本作は元々2012年にPS3/Xbox 360/WiiU/PC向けに発売されたタイトルで、ちょうどPS3/Xbox 360世代最後の『CoD』でした。本作が描こうとしたものは何かを探求する、PS5版キャンペーンのプレイレポをお届けします。
この移植版は、同じタイミングで配信された前作『コール オブ デューティ ブラックオプス』のPS5/PS4版と同じく、オリジナルからほとんど変更がありません。グラフィック自体はオリジナルと差がありませんし、アダプティブトリガーやジャイロエイムなどの機能は実装されていません。一方でキャンペーンについては前回の『CoD: BO』と同じく、今の視点だから気付く要素が多く、興味深いものでした。
なお本稿は『BO2』のネタバレが含まれています。加えて、後述の分析は、作品を楽しむ一つの解釈として楽しんでいただけたらと思います。

近未来系シューターが増え始めた時代に登場した『BO2』
『コール オブ デューティ ブラックオプス』(以下、CoD: BO)の続編となる本作の開発は、2010年に前作となる『CoD: BO』が発売されるギリギリ前の段階で決められました。TreyarchスタジオヘッドのMark Lamia氏のインタビューによれば、ディレクターのDave Anthony氏と脚本のDavid Goyer氏との話し合いで、続編を作りたいことが決まり、ストーリーテリングの根本を変えるとともに世代を超えて楽しめる『CoD』を作ることが決まったと語っています。
また、脚本のDavid Goyer氏のインタビューによると、本作のストーリーには父の罪が子にも降りかかるという要素を盛り込んだそうです。これはメイソン親子の関係だけでなく国家同士の関係にも当てはまります。かつては味方だった人物や国家が、なぜ後に敵となってしまうのか。その理由についてプレイヤーに考えてほしいという意図が込められていたそうです。ちなみに余談ではありますが、このインタビューでは『CoD: BO』発売後には、『CoD: BO』の映画化に対するオファーがいくらかあったそうで、それらを全て退けてから『BO2』を開発したとも語られています。
この2012年前後は、シュータージャンルにおいて近未来や遠未来といったSF要素を備えた作品が所々出ていました。例えば、2011年においては、舞台を南国からニューヨークへ移したCrytekの『Crysis 2』や、北朝鮮がアメリカへ攻め込むKaos Studiosの『Homefront』、サイボーグ化した人間の軋轢を描いたアイドス・モントリオールの『Deus Ex: Human Revolution』などです。
加えて、『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア2』リリース後にActivisionとのトラブルから大量退職が伝えられたInfinity Wardが、当時新興だったゲームスタジオSledgehammer Gamesと共同開発という形で『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア3』を開発。他にも、EAから『メダル・オブ・オナー』(2010)や『バトルフィールド3』がリリースされるなど、『CoD』シリーズのライバルというべき作品も増えていたのです。
2012年には、ジョセフ・コンラッドの「闇の奥」をインスピレーションに取り入れた、既存のミリタリーシューターに対する批判的内容を描くことになった『Spec Ops: The Line』も登場するなど、新たな潮流が見え始めていました。他にも、近未来SF作品としてUbisoftの『ゴーストリコン フューチャーソルジャー』やEAの『Syndicate』も登場。当時として氾濫しつつあった現代戦というテーマから脱却する作品も増えていました。
こうした近未来SFシューターが多く登場した流れの中で発表された『BO2』は、それまでの『CoD』ファンにも大きな戸惑いを与えました。特に、初めてSF要素を取り入れた『CoD』だったことに加え、80年代におけるメイソンの物語をもっと見たいという声もあり、前評判は必ずしも好意的なものではありませんでした。
元々、2008年ごろにSF要素を備えた『CoD』登場の可能性を示唆する報道がありましたが、『モダン・ウォーフェア』シリーズと前作『ブラックオプス』からの興奮を引き継いで登場した故に、近未来SF要素が入った本作をどう受け止めればよいのかわからなかったのです(この反発は後の『コール オブ デューティ インフィニット・ウォーフェア』で表面化してしまった)。
こうして『BO2』は海外で2012年11月13日に、日本では2012年11月22日に字幕版が、12月20日に吹き替え版が発売されました。日本においては、初めて任天堂の据え置きハードでの『CoD』が展開されたこともあり(日本ではDS版『CoD4』がリリース、海外ではWii版も時間差で発売されていた)、記念碑的なタイトルでもあったのです。
マルチエンディングや分岐など、さらに遊びの幅を広げた『BO2』
まず筆者が約12年ぶりにプレイして感じたのは、起動直後に流れる意味深な映像やメニュー画面のシンプルさが、当時に受けた印象からほとんど変わっていないことでした。前作がメニュー画面の拘束台から立ち上がり、その部屋内を動けたことを思うと、本作はどこにも行けないため少し窮屈な印象を受けます。
本作のストーリーは、フランク・ウッズの回想から語られる1980年代編と、デイビッド・メイソンを操作して戦う2025年の2つの時間軸をプレイし、メネンデスの野望を阻止するというものです。

前作に引き続き本作においても時系列は前後しますし、操作キャラクターも時代や進行によってメイソンやウッズ、デイビッドなどに切り替わるということを筆頭に、『CoD』の基本は抑えています。一方でストーリーやミッションの進行は大きく変化しました。
キャンペーンのミッションでは途中で入手するアイテムや、ミッションの成否、プレイヤーが選んだ行動によって変化し、結末は一つでありません。これは、これまで1本道だった『コール オブ デューティ』のゲームプレイが大きく変化した瞬間でした。
ミッション進行の変化では、ミッション1だと序盤にも関わらず大平原での戦闘を行ったと思ったら、川上りする船へと場面を移し、ウッズ救出後には静かなステルスパートが展開されるほどです。プレイヤーを惹きつける最初のミッションとしては非常に練りこまれており、宿敵メネンデスとの初邂逅が静かな接近戦であることを思うと、前作でカストロの影武者を倒したダイナミックさとは受ける印象が違います。



こうした作風の違いを大きく実感したのはミッション3「OLD WOUNDS」です。ここでは、馬に跨って移動するほど広いマップを駆け巡り、襲来するソ連軍の猛攻を食い止めます。それまでの『CoD』と比べても、キャンペーンでプレイヤーが広い空間を自由に動けるようになったことを強く実感できるミッションでした。

さらに、ミッション終盤ではクラフチェンコに遭遇しますが、再びヴォルクタでの洗脳が復活し、本能に従ってクラフチェンコを殺そうとしてしまいます。ここで初めて分岐が発生し、メイソンに再び表れた洗脳による衝動を抑えることで、メイソンにクラフチェンコを殺させることなく有用な情報を入手出来るという分岐が生まれます。しかしながら過去編では、プレイヤーの行動が結果に大きな影響を与えるというわけではありません。会話シーンにおいて、懸念点を示す会話が展開されるぐらいです。

一方、2025年を舞台とする未来編では、こうした分岐に加えて息子のデイビッドを中心に物語が展開され、ドローンなど無人兵器を筆頭に、2012年前後で考えられていた未来を象徴する兵器群が表れます。これらの敵の無人機は、ミッション中にある端末からハッキングすることができ、敵との戦闘を有利に働かせることができます。こうした無人機群は設定だけなら近未来SFですが、現在の視点から見ると超ハイテクな見た目以外には違和感を覚えず、現実にあってもおかしくないほどリアリティに溢れたものであると感じられました。



さらに、未来編にはストーリーにも影響を与える「ストライクフォース」モードがあります。このストライクフォースは、周辺地域を侵略して強大な力を得ようとするSDCのザオ議長の野望を挫くことが目的です。プレイヤーは指揮官となり、RTS的にドローンや歩兵などを指揮し、防衛ミッションやオブジェクト破壊ミッションなど様々なものを遂行します。物語展開が主となる本編と異なり、敵と戦い様々な目標を遂行することが目的なため、ゲームプレイ感覚はかなり異なります。


こうしてプレイヤーは過去編と未来編を行き来しながら、メネンデスの動きとメイソン親子の因縁を知り、その情報をもとに未来のメネンデスの野望を食い止めることになります。
約14年前に初プレイした時は、メイソンとメネンデス、そしてカルマを死なせてしまい世界が大混乱となる結末を迎えてしまいましたが、今回の再プレイでは細かな部分を覚えていたことから、重要な場面で登場人物を死なせずに出来たことで、以前プレイした経験からグッドエンドに難なくたどり着きました。そこで気付かされたのが、本作が単なるマルチエンドの『CoD』でなく、時代を超えて受け継がれてしまう負の因果の存在と、それをある程度覆せるプレイヤーの存在でした。
負の因果をどう断ち切るか―プレイヤーに選択を与えるシーンが多いキャンペーン
『BO2』では、プレイヤーの行動によって登場人物を生存させることや、障害となる人物の行動を阻止する事が可能です。過去編では、洗脳に耐えてクラフチェンコから情報を聞き出すことで、CIA内部に裏切り者がいることが示唆されます。さらに後のミッション「TIME AND FATE」では、ニカラグアのメネンデス邸からCIAの文書を発見することになります。こうした行動の結果は、過去編最後のミッション「SUFFER WITH ME」の狙撃シーンで、プレイヤーに命令を再考させる形で現れます。


この狙撃シーンは、当初の命令に抗うような形で頭でなく脚を撃ちぬくことで、メイソンの死を回避することに繋がります。しかし、この後起こるメネンデスがウッズの脚を負傷させるシーンは避けられません。ほんの小さな抵抗ですが、ただ命令に従い前々作『CoD World at War』におけるソ連編主人公ディミトリ・ペトリチェンコを死なせてしまったレズノフの悔しさを晴らさせることに繋がります。

このミッションでは、命令にただ従うことへの悔いが多く描かれています。ハドソンの裏切りやウッズの後悔などです。さらに、ここでは港に実在の人物が一人と前作『CoD: BO』ミッション1の最後の構図を踏襲しています。つまり、過去に起きた出来事が形を変えて再び襲ってきたのです。




本作の中で裏切ってしまう人物や組織は、ハドソンやサラザール、ファリド、ムジャヒディン、無人機など組織や人を含め数多くに及びます。そして本作では、こうした裏切りや選択に対して、ほぼ必ず何らかの代償が用意されています。
『BO2』では、ザオ議長のように野望のため過激な行動を取る者や、戦闘が起きていない場所で人を殺す者、そして裏切りに手を染める者に対して、非常に重い代償が用意されています。ウッズは、目の前で仲間を殺された恨みからメネンデスを何が何でも抹殺しようとしますし、その結果メネンデスの妹ジョセフィーナを殺してしまい、メネンデスに脚を破壊されリタイアしてしまう(分岐によっては最後殺される)ことが筆頭です。

ハドソンも裏切りの結果から、後に引けずその責任を負うようにメネンデスに殺されます。また、メネンデスによって、制御を奪われた(裏切った)無人機群は最後に自爆することも含めて徹底しています。最終ミッションでメネンデスを殺してしまうと、世界がコルディスダイ支持者によって破壊され尽くしてしまうことも同様です。

これら負の因果が連なる物語が『BO2』で、プレイヤーは全てではありませんがある程度断ち切る選択を迫られます。その中でもファリドは、ミッション8「ACHILLES' VEIL」でハーパーから素性を明かすなと命じられた一方で、メネンデスの命令にも従わなければならず、両者の間で板挟みになります。その結果としてハーパーを殺す選択をしてしまうと、深い自責の念を抱くことになります。しかし、それは次のミッションでハーパーを殺してしまった責任からか身を挺してクロエを庇う事に繋がりますし、そうした行動が世界を破滅の危機から救うことになるのです。



未来編のミッション9「ODYSSEUS」は、まさにこれらの裏切りの因果が集まるところであり、過去編のミッション「SUFFER WITH ME」の裏返しとも言えます。無人機の攻撃に乗じて、囚われの身から自由に動けるようになったメネンデスは、空母USSオバマの中枢であるサーバールームへ侵入。そこには艦長のブリッグスと、メネンデスのスパイであるサラザールがいます。さらに、それまでのプレイヤーの行動によってクロエとデファルコ、そしてファリドがそれぞれいます。



ここでは条件を満たせば、任務に従順だったファリドがサラザールから放たれる弾丸から民間人のクロエを庇うことや、クロエを殺そうとするデファルコを倒すことなど結果として表れます。加えて、ストーリー分岐に絡む行動の答えがこの場で全て表れると同時に、メネンデスが決める艦長の生死も、ウッズによるメイソン狙撃の立場を変えたもののように思えます。
未来編は、ある種の80年代編の再演です。プレイヤーは80年代編で生まれた負の因果を知ったうえで、それをどのように覆すのかを問われます。民間人を助け、人を裏切ることをせず、無抵抗な者を殺さず、強大な野望を挫く、それを行うことで世界を少しだけより良い方向に導けることを描いた内容です(ある意味、「過去は変えられないが未来は変えられる」というもの)。まさにデイビッド達が途中で探していたカルマ(業)は、本当にそのままの意味で本作を読み解く最大のヒントです。

一方で、『ブラックオプスII』に足りなかったものを挙げるなら、こうしたプレイヤーの行動によって生死を分けた人物のその後がわからないことでしょう。例えば、ザオ将軍抹殺まで行き着くストライクフォースミッションの結果は、ミッション10「CORDIS DIE」冒頭で登場するチェン首相の態度に表れますが、米中冷戦の結果がエンディングで言及されていないために、全体的な影響が小さいように感じてしまいます。それと同じように、サラザールやブリックス艦長の生死も、空母USSオバマの撃沈か否かを左右する要素ですが、両者の生死だけでなく、空母が健在であることが後にどんな影響があるのかがわかりません。

日本国内で本作のストーリーがあまり高く評価されていない理由の一つも、こうした分岐の結果をエンディングで十分に描き切れていないことではないかと思えます。
こうした問題点があるものの、『CoD』において負の因果を断ち切りより良い世界にするにはどうするべきかと問う内容として、ミリタリーシューター以上の物語に出来ている素晴らしさに満ち溢れています。先ほど触れた『Spec Ops: The Line』がただ任務に従うだけのミリタリーシューターを批判した作品なら、『BO2』は同じ時代の『CoD』という立場から、プレイヤーが過去から続く因果を知ることで、任務に抗い、その結果を覆すことができます。
そうした内容から図らずとも『Spec Ops: The Line』への返答として、これ以上にない内容を含んだゲームであると思えます。しかし、エンディングでの言及不足が物足りなさを生んでしまい、その意図が伝わりにくい結果となってしまったのが残念です。

プレイヤーに、リニアな体験だけでないストーリー分岐を表現する『CoD』として、その挑戦は大きな部分で成功していますし、その面白さはリリースから14年以上経過した2026年現在でも古びていません。しかし、ストーリー分岐という挑戦に必要な要素はしっかりと揃っているものの、その意図を理解できるほど描写があるかと問われれば、不十分だったのではないかと思えてしまいます(大まかなストーリーチャートを見られるようにしても良かったし、各エンディングもクリア後に再生できるようになればより良かった)。そして、もう一つ本作を理解するうえで欠かせないのが、物語の随所に散りばめられた文学や神話のモチーフです。
ギリシャ神話と古典小説「闇の奥」のモチーフが散りばめられたストーリー
本作には、ギリシャ神話や文学作品から、状況設定やキャラクターの関係性を想起させるモチーフが随所に盛り込まれています。例えば序盤のミッション「PYRRHIC VICTORY」は、原作の舞台をなぞっているわけではありませんが、主人公がアフリカの川で船に乗って川上りし、強大な人物に出会うという図式がジョセフ・コンラッドの「闇の奥」を想起させる構図になっています。

ただし、クルツとメネンデスが置かれている状況は同じではありません。クルツとメネンデスに違いがあるとすれば、「闇の奥」のクルツは物語の終盤に姿を現し、それまでに登場した人物たちの特徴を集約したような存在として描かれます。一方、メネンデスと出会うのはキャンペーン序盤です。この時点の彼はまだ若く、大きな力を持ちながらも、手に入れた要素が限られています。


しかしながら物語が進む事に、メネンデスは単なる敵役ではなく、物語の中で他者の傷や権力、支持者まで取り込む存在へ変化していきます。ハーパーの火傷の位置は、ミッション9「ODYSSEUS」でサラザールに傷つけられる位置と同じですし、司令官が持つ無人機の権限さえも奪い取ります。インターネット上で支持者を集める姿も、クルツが奥地で現地住民を従えている姿を想起させますし、コルディズダイのNo.2であるデファルコの存在も、「闇の奥」でクルツの崇拝者であったロシア人青年をも感じさせます。


こうした「闇の奥」要素が最後まで現れるのは、メネンデスを生存させ、クロエを救えなかった場合に見られるエンディングでしょう。世界中のインフラが破壊され、ウッズを殺し、ジョセフィーナの墓の前でガソリンを被り、火を付けた時のシーンです(メネンデスは「怖ろしい!怖ろしい!」と叫ばないが、ここで初めて恐怖におののく表情を見せる)。この時、メネンデスがまさにクルツと重なっており、「闇の奥」を踏襲しきった瞬間でした。




一方でギリシャ神話要素は細かく散りばめられており、メネンデスがインターネット上でオデュッセウスと名乗ることは言わずもがなですが、ミッション8「ACHILLES' VEIL(アキレスのベール)」は、まさにタイトル通りの内容です。

ギリシャ神話におけるアキレウス(アキレス)は、トロイア戦争にて活躍する人物です。ギリシャ側はトロイア戦争の勝利のために彼の力が必要であるものの、彼が出征すれば戦死する運命にあることを母親のテティスが知っていたため、アキレウスを出征させまいと女装させ、リュコメーデースの王女たちに紛れ込ませました。しかし、ギリシャ側はアキレウスの参戦を必要としていたため、オデュッセウスは商人に化けてリュコメーデース王の宮廷に入り、アキレウスを捜しましたが、見つけることができません。
そこでオデュッセウスは、女性向けの装飾品を宮廷内に広げ、その中に武器を混ぜておきました。そしてアキレウスが武器を手に取ったことで正体が発覚します。こうしてアキレウスはトロイア戦争への参加を余儀なくされ、最終的にはこの戦争で命を落とすことになります。
この状況は潜入工作員のファリドと非常に似通っており、オデュッセウスとしてのメネンデスは、ファリドにハーパーを手に掛けるように仕向けることで、全貌を明らかにさせます。両者の指示に従わず、メネンデスに銃を向けると正体がバレてしまい、結果早く倒されてしまうという構図です。

こうしたギリシャ神話のイーリアスとオデュッセイアを踏襲した内容は、後のミッションでもミッション名通りに表れており、ミッション9は「オデュッセウス」ですし、ミッション11「JUDGEMENT DAY」冒頭ではイーリアスの後で起こるトロイの木馬について言及しています。ただ、イーリアスとオデュッセイアの引用については厳密でなく、所々使われているのみです。


このように本作には神話と小説からストーリー展開やキャラクターのポジションなど、様々な要素が引用されていました。また、因果応報が巡る物語構造はギリシャ悲劇を思わせる部分もあり、本作にはそうした古典的な物語構造も感じられます。これは、これまで『CoD』シリーズが長らく行ってきた映画からの引用を抑え、文学や神話へとストーリーの参照元を拡張した姿とも言えるでしょう。


キャンペーンだけでもプレイする価値は高い『BO2』
『コール オブ デューティ ブラックオプスII』は、『CoD』シリーズとして未来と過去の2編で物語を進めるだけでなく、文学作品や神話をモチーフにし、新たにマルチエンディングを実装するという『CoD』シリーズの中でも挑戦的な作品でした。
続編の『コール オブ デューティ ブラックオプスIII』が本作のストーリーを踏襲した物語でないことを考えてみると、初期の『BO』シリーズの物語は、後のシリーズ作で触れられてはいるものの初代と2作目で一旦完結していたと言っても過言ではありません。
今回『CoD: BO』と『BO2』がPSプラットフォーム向けに移植されたことで、この時代のTreyarch製『CoD』に触れやすくなりました。贅沢を言えば、『CoD3』や日本語公式ローカライズがされていない『CoD: World at War』の移植なども期待したいです。

本作のキャンペーンは2010年代前半に制作されたタイトルであることを考慮すれば、今でも楽しむことができるでしょう。加えて、本作に込められたテーマを理解しながらプレイすることで、再プレイでも本作の核心に触れられるかもしれません。
PS5/PS4移植版『コール オブ デューティ ブラックオプス II』は5,900円(税込み)で販売中です。












