【今から遊ぶ不朽のRPG】第10回『Fallout』(1997) | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

ハードコアゲーマーのためのWebメディア

【今から遊ぶ不朽のRPG】第10回『Fallout』(1997)

今週11月10日についに海外版リリースを迎えた、Bethesda Game Studioの超大作RPG『Fallout 4』。今回の『今から遊ぶ不朽のRPG』では、そんな最新作発売を記念して、1997年に発売された初代『Fallout』をご紹介します。

連載・特集 特集
【今から遊ぶ不朽のRPG】第10回『Fallout』(1997)
  • 【今から遊ぶ不朽のRPG】第10回『Fallout』(1997)


今月11月10日についに海外版リリースを迎えた、Bethesda Game StudiosのポストアポカリプスRPGシリーズ最新作『Fallout 4』。E3での発表時から今年度最大級の注目タイトルとして期待されている本作ですが、Game*Spark読者の中にも、もう既に荒野の旅を始めている方も多いかもしれません。そこで、今回の「今から遊ぶ不朽のRPG」では、そんな最新作発売を記念して、1997年に発売された初代『Fallout』をご紹介します。

* * * * *


今でこそ、全世界で大ヒットを記録する大型フランチャイズにまで成長した『Fallout』シリーズですが、1997年に登場した初代『Fallout』は、発売当初はセールス的には昨今のような大きな成功には繋がりませんでした。

その背景として、直近にリリースされたタイトルを見てみると、初代『Diablo』、コンソールには『ファイナルファンタジー VII』といった、数々のGOTYを総なめにした大作RPGが名を連ねており、その影響もあってか、日本は勿論のこと当時は海外でも隠れた異色作の一つとして認知されていたようです。

更に、スピンオフ『Fallout Tactics』を含む『Fallout』『Fallout 2』の初期作品は日本未発売で浸透度は低く、始めてナンバリングをプレイしたのは国内ローカライズが実施された『Fallout 3』、もしくは『Fallout New Vegas』からという読者も多いのではないでしょうか。そうした後期作品との共通点やシステムの変化を交えつつ、伝説的な初代『Fallout』を解説していきたいと思います。

今手に入れるなら

前項で述べた通り、国内では未リリース作品のため、現在購入するなら、各種ダウンロード販売サイトを利用するのがオススメ。

現在ではクラシック作品としてメジャーな存在となっているので、様々なデジタルダウンロードショップで取り扱われていますが、導入の手ごろさや信頼性からSteamGOGのどちらかを選ぶのが無難な選択肢。



両ショップによる付属物の違いは上記の通り。本作以外の様々な商品に共通する部分ですが、クラシックタイトルに強いGOGでは当時の細かな年表や攻略情報など各種読み物をPDFにまとめた書籍、デジタルアートワークなど、本体以外のおまけが多いので個人的にはこちらがオススメです。

一方のSteamでは、『Fallout』、『Fallout 2』、『Fallout Tactics』をまとめた『Fallout Classic Collection』のほか、大型セール時期には初代から『New Vegas』までをひとまとめにしたバンドルも頻繁に登場するので、シリーズをまとめてプレイしたい方や、クライアント特有のプレイ時間の記録やスクリーンショットの共有といったアクティビティ機能を利用したい場合はSteam版を選ぶと良いでしょう。

ちなみに、どちらのバージョンも現在のPCに合わせて高解像MODが初めから適用された状態で販売されています。また、本記事では割愛させて頂きますが、国内の有志による日本語化パッチも両バージョンで使用可能のようです。

Waste Landへようこそ

ストーリーは石油を巡る世界大戦が勃発した2077年の近未来からスタート。核ミサイルにより、アメリカのほぼ全域が荒地と化した中、生き残った人々は、瓦礫やジャンク品を用いて新たに再建した町村や、戦前に疫病対策として建設された地下施設「Vault」を拠点としながら生きながらえていました。

そんな中、各地に点在するVaultの内の1つ「Vault 13」にて、住民の命綱となる水を供給するウォーターチップが故障する事件が発生。プレイヤーは壊れたチップを修復する為、放射能で汚染された危険な荒野へ旅立つ事となります。

『Fallout』一番の魅力といえば、当時主流のハイファンタジーとは一線を画したその世界観。核戦争で荒廃したアメリカ合衆国が舞台となり、映画『MAD MAX 2』を彷彿とさせる混沌とした雰囲気で統一されています。

ショットガンを持った革ジャン男が連れてきた犬に悩む男性。
実際に映画『MAD MAX2』を彷彿とさせるイースターエッグも登場。

広大な世界をマイペースに冒険するのもシリーズの醍醐味ですが、初代ではストーリーの性質上、故郷「Vault 13」の備蓄水が150日で枯渇してしまう為、あまり時間を掛けすぎると強制的にバッドエンドに突入してしまいます。とはいっても、中盤以降は時間制限もなくなり、序盤でもとあるイベントをこなす事で残日数を大幅に引き上げる事も可能なので、普通にプレイする分にはあまり意識しなくても大丈夫でしょう。


初代から存在するおなじみPipBoyは、後期作よりもバージョンが低い"PipBoy 2000"。
ここでは休憩やログの確認の他、水の供給が鞨鼓するまでの残日数チェックも可能。


APが命運を分けるバトルシステム

『Fallout 3』や以降は3Dのオープンワールドシステムが採用され、『The Elder Scrolls』同様、シューターライクなバトルシステムとなっていましたが、初期作は、シミュレーションRPGに近いシステムを採用したターンベースでバトルが進行していきます。


国内タイトルでは『ポポロクロイス物語』や『アークザラッド』に近い戦闘システム。
シビアさは初期『XCOM』や『ファイアーエムブレム』を彷彿とさせます。

ゲーム中、通常の散策モードと戦闘モードを自由に切り替える事が可能で、戦闘モード時のみ、敵味方問わず移動、攻撃、リロード、インベントリ観覧まで全ての行動にAP(Action Point)を消費するというシミュレーションRPGライクなシステム。

また、相手の特定部位を狙い撃ちする「V.A.T.S」も初代からのシステム。国内のシリーズファンの間ではその驚異的な破壊力から「デスクロー先生」や「デス様」などと畏怖されるデスクローなど、弱点を突かなければかなり苦戦を強いられる敵も多く、『XCOM』シリーズのように毎ターン毎の戦略性が問われるシビアな局面が多い事も特徴です。


V.A.T.Sで狙える部位は、頭、手足、目など敵によって様々。

後期シリーズでも、数レベル毎にユニークスキルを取得できる”PERK”システムが登場しますが、初期作ではPERKに加え「Traits」というキャラクターの特徴を決める追加パラメータが設定できます(何も選ばなくてもOK)。

しかしながら非常にクセが強く、「Meleeダメージが上昇する代わりにクリティカルダメージが大幅に減少」、「消費APが軽減する代わりにV.A.T.Sが一切使用不能」、「敵味方関係なくとにかく死に様が残虐になる」といった具合に一長一短、というよりも一長二短なものが多いので取得には注意が必要です。


ちなみにバトル時のSEは初代から統一されています。

実際のところ、バトルに関してバランスがあまりよく無いというのも正直な感想。例え難易度を一番低く設定していても、後半になると理不尽な敵の攻撃で一撃死するのは日常茶飯事。

なにより、初期ステータスとセーブのタイミング次第ではゲームが完全に進行不能になる可能性があるので、初めてキャラクターを作成する際にはAPを上昇させるAgilityを重視する事をオススメ。筆者は初回プレイ時ラスボス戦で打つ手が無くなり最初からやり直した苦い経験があります。

生かすか、殺すか。自由度の高さは初代から

シリーズも一番の魅力ともいえる自由度の高さは、初代から健在です。ワールドマップはシンプルで、各地のシンボルも少なめですが、各拠点には様々なクエストが用意されていて、後期作同様に解決方法はほぼ全てプレイヤーの手に委ねられます。


フィールドはシンプルなつくりで、各ブロックごとに未開の地域を探索していきます。



全土で一番の規模を誇るHubのマーケット。

初期2作はシリーズを通しても特に世界観が殺伐としており、「○○を殺害」系のクエストの登場頻度がかなり多め。素直に依頼者の言うことを聞き依頼を攻略するのも良いですが、各種スキルを駆使して戦闘を回避したり、逆に敵対人物側に寝返るのもよし。悪事を働いた場合は自分から警察に出頭して解決するという手もあり、クエスト攻略の幅広さは初代からの伝統なのです。

誘拐された娘を救う為、レイダーのボスとタイマン。
選択肢によっては集団全員と戦ったり、逆に恐喝する事も可能。


とあるクエストの重要人物を殺害して、建物の奥に進めなくなってしまったケース。
カギが無いのでNPCのカバンから拝借。

また、通常クエストのほか、プレイヤーが設定したLUCKステータスの値によって、フィールド中にランダムでイベントが発生することもあります。中にはランダムイベントでしか入手できない超強力なユニークアイテムなども登場します。

ちなみに今回の記事執筆にあたって最低状態のLUCK1で始めからプレイしたところ、普通にプレイをしてエンディングに到達するまでの間、一度もランダムイベントに遭遇しなかったので、キャラ作成時には気持程度でもLUCKに振ると良いかと思います。

『Fallout 3』でも登場したUFO墜落現場 (Image via Fallout wiki)

ランダムで遭遇する巨大生物の足跡。

こちらもランダムで遭遇する廃車しかない車屋。イカれた店主が名物。

シリーズお馴染み”ヌカコーラ”のトラック事故現場。
中には莫大な量のキャップ(ゲームの通貨)が積まれています


荒野を支配する派閥と宗教

初代『Fallout』を開発に携わったメンバーは、当時のディレクターFeargus Urquhart氏を筆頭に、『Fallout New Vegas』のObsidian Entertainmentにも多数在籍しており、シナリオ展開や全体的な雰囲気の共通点が非常に多く見られます。

その一つが、プレイヤーが荒野の各地で出会う派閥と宗教。カジノを経営しながら裏で町を牛耳るギャングや、それに対抗する保安官など『Fallout New Vegas』のメインシナリオに似た構成のクエストも各地に点在しています。

特に名前を変えつつもシリーズを通して登場する3大勢力は本作で最も重要な位置にあり、パワーアーマーに身を包み、宗教的なまでに科学技術を尊重する「Brotherhood」、グールや人間と敵対しながら、Wasteland各地に勢力を拡大する「スーパーミュータント軍」。そして、全人類の統一と救済を掲げ、謎の存在Masterを崇拝する「Unity」の三つの派閥が複雑に絡み合い、物語が進むにつれて、プレイヤーは彼らの真の目的を知ることとなります。

旧カリフォルニアの南の教会に建てられたUnityの聖堂。
信者はブラウン管に映し出された”Master”の言葉を崇拝する。


自分たちの教祖が一体誰なのかを知るものは少ない。その正体は極めて一部の幹部のみが知る。

『Fallout 3』では、人面木となっていたHarold。彼も元々はグールと化した人間でした。
本作ではメインストーリーに大きく関わる人物です。

Brotherhood基地に入るには試験をパスする事が必須。
内情はテクノロジーを宗教的に信仰する組織。


『Fallout』の元祖『Wasteland』

昨年Kickstarterを経てついに念願の『Wasteland 2』がリリース。オリジナルや初期『Fallout』のエッセンスをふんだんに盛り込んだ内容は、ユーザーからも高い評価を得ています。


『Fallout』はもともと『Wasteland』の続編として計画されていたものの、版権の問題から、別タイトルにシフトしていったという経緯もあり、世界観をはじめ両作共に共通する部分が多いので、興味のある方はそちらもチェックしてみてください。両タイトルとも『Fallout』同様にSteam、GOGでも配信中です。


このほかにも、ステルス要素や本家のスキルなど、異色のシステムを取り入れたRTSの番外編『Fallout Tactics』、コンシューマ向けのアクションRPG『Fallout BROTHERHOOD OF STEEL』のほか、iOS、Android向けに今年リリースされた『Fallout Shelter』、そして、権利問題から最後まで日の出を浴びる事がなかったMMORPG『Fallout Project V13』など、スピンオフ作品も数多く存在しています。

* * * * *

本連載で過去に紹介した『Divine Divinity』などに比べてもインターフェイスや操作性、バランス等で、現在のゲームに比べると若干の敷居の高さもありますが、初代『Fallout』から「シリーズで一番ブっ飛んでいる」と評判の『Fallout 2』、そして現在発売中の最新作『Fallout 4』を含め、ぜひこの機会にシリーズを通してプレイしてみてはいかがでしょうか。

今回のプレビューは、Steam版およびGOG版をもとに執筆しました。

※本文を一部加筆・修正しました。コメント欄でのご指摘ありがとうございます。
《FURUKAWA》
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめの記事

特集

連載・特集 アクセスランキング

アクセスランキングをもっと見る

page top