『Clanfolk』で過ごすスコットランドの厳しい冬も、そろそろ安定して越せるようになってきましたか？乾燥キノコと家畜の屠殺で得た皮があれば、とりあえず飢えと寒さをしのぐことはできるでしょう。早期アクセス中のため、一冬を越したところで技術は揃い、防寒と食料の確保は安定します。
ゲームの目標は達成ですが、生活を楽にするテクニックはまだあります。現在のスコットランドでも行われている「野焼き」と「氷室」は、ゲーム内でもやり方を覚えれば食料保存や牧草確保に大いに役立ちます。実際の例を参照しながら学びましょう。
野焼き（Muirburn）
スコットランドは木がほとんど生えない「ムーア」と呼ばれる湿地帯が広がっており、特に夏になるとヒース（ヘザー）の花が咲いて一面ピンクや紫になる光景が有名です。ハイランドではヒースを様々な用途に利用しており、牧草代わりや今後実装が予定されている養蜂、エール造りには欠かせません。泥炭にはヒースの香りが含まれ、ウィスキーのフレーバーにも影響を及ぼします。スコットランドと言えばヒース、ぐらいには地域を代表する物です。
このヒースを活用するため、現地では時々野焼き作業を行っています。 “Set the heather on fire”という慣用句もあるくらいで、古くから行われてきた風物詩です。スコットランドは寒冷地のため、植物が土壌に分解されず泥炭へと変化します。そのため、植物が枯れてもその栄養は次世代が利用できない状態で溜まってしまいます。枯れた古い株を灰にしてリセットし、これから成長する新しい株の栄養とするのです。ヒースは炎に強く、新芽はライチョウや家畜の食料としてとても有用になります。現在のスコットランドでは、放牧で草地が少なくなってくる10月から春先の4月までと定められています。
現在実装されている範囲では草や木を焼いたところを耕作地にする、いわゆる焼き畑農法が主な用途です。肥料が少ない1年目に挑戦してみるのもいいでしょう。春先や晩秋になると雨の日が続くので、いまのところ安定して実行できるのは夏頃。火災が広がらないよう周囲の刈り込みも行い、自動消火をオフにしてから火を放ちましょう。
今後泥炭が導入予定ですが、泥炭層に野焼きの火が回ってしまうと大規模な火災を引き起こします。2015年のインドネシアでは地下深くで延焼し、広範囲で熱と有毒ガスが出る被害がありました。牧畜をメインにしたいなら野焼きは重要な技術ですが、きちんと範囲を制御するのが大切です。
氷室（Icehouse）
生命を脅かすほどの強敵となる厳しい寒さ。一方で、それをうまく夏まで保存できればこの上ない有用なものに逆転します。それが一年中冷気を保ち続ける「氷室」の技術。今の季節なら天然氷のかき氷を見かけるでしょう。これも氷室によって半年保存した天然氷を取り出して使っています。
原理は非常に単純で、厳冬期に切り出した氷を断熱性の高い場所、専用の倉や洞窟の中に保管しておくだけです。大きな湖に分厚い氷ができる寒冷地では、このようにのこぎりを使って切り出し作業をします。「アナと雪の女王」の冒頭でもこの場面が描かれていましたね。
マイナスに保てるほど十分な量を入れて、密閉と温度管理を怠らなければ、安定して冷気を封じ込められるでしょう。夏場の食料も腐らせること無く長期保存が可能になり、『Clanfolk』で2年目以降に人数を増やしていくなら是非とも作っておきたいですね。
国内ではかき氷にするため、専用の場所を作って不純物を取り除く管理を行います。電気技術の無い時代から重要な冷蔵保存の技術として使われ、欧州では王侯貴族の食料庫にも氷室がありました。日本でも「お氷様」と言って夏場に朝廷や幕府に貴重品として献上されています。代替が無く高い値段で売れるので、農業が厳しい環境の人々には重要な収入源でもありました。
『Clanfolk』では切り出し氷が無い代わりに、桶に入った「凍った水」がその役割を果たします。「気温を下げる効果がある」とのことで、氷室としての用途を想定してあるのでしょう。食料庫として熱を遮断したスペースを作り、桶置き場が埋まるだけの水を用意（飲み水用は別にしてください）。あとは真冬に一旦凍らせれば完成です。
気温が上がる春にサーモグラフィーで確認するとこの通り。周囲は10度前後まで暖かくなっているにもかかわらず、氷室の中はマイナスを維持しています。足が速いベリーや生肉もほとんど腐敗の進行はありません。売却する余裕もできますが、何より食糧確保に費やす時間を大幅に減らせます。冷蔵技術が人間の生活をいかに向上させるかを実感できるでしょう。
『RimWorld』フォロワーでありつつも、自然と闘い、自然を利用する暮らしを体験できる独自の方向性へ進んだ『Clanfolk』。サバイバル系をやってみたいけれど敵と戦闘するのは苦手、という人には是非とも遊んでいただきたい作品です。
