なぜ、時代に逆行した『世界樹の迷宮』は成功したのか? リマスター版にも受け継がれるその魅力とは【UPDATE】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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なぜ、時代に逆行した『世界樹の迷宮』は成功したのか? リマスター版にも受け継がれるその魅力とは【UPDATE】

リマスター版の発売も決まった『世界樹の迷宮』。果たしてどんな魅力で当時のプレイヤーを引き付けたのか。未経験のユーザーへのお勧めポイントと併せて紹介します。

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今は昔、1980年代に『ウルティマ』や『ウィザードリィ』などがヒットし、コンピュータRPGが盛り上がりを見せ始めました。この2作品の影響で、その後フィールド型と3Dダンジョン型のRPGが数多く生まれ、多彩な進化へと繋がっていきます。

そして40年ほどが経ち。現在は、「RPG」の様式は一口では言えないほどの広がりを見せる一方で、昔ながらのスタイルを踏襲しつつ、そこにオリジナリティや独自性を加える作品も存在しています。その代表例の一つでもある3Dダンジョン型のRPGも、伝統的な基本を受け継ぎながら様々な発展を遂げました。

16年前、2007年にニンテンドーDSでデビューを飾った『世界樹の迷宮』も、3Dダンジョン型の系譜に名を連ねる作品のひとつです。一見するだけでは当時でもなお地味な印象を受ける作品でしたが、新規タイトルながら確かな人気を集め、DSだけで3作品を展開。また、シリーズ展開は3DSでも行われ、ナンバリングとリメイクを合わせ、5本の3DSソフトが発売されました。

そこからしばらく間が開いたものの、ニンテンドースイッチ/Steam向けRPG『世界樹の迷宮I・II・III HD REMASTER』のリリースが先日明らかになりました。2023年6月1日の発売日に、懐かしい冒険が新たな舞台で蘇ることでしょう。

この発表にシリーズファンが歓喜し、Twitterでは「世界樹の迷宮」がトレンド入りしたほど。ですが、当時においてもレトロさを漂わせていた作品が、なぜこの令和においても歓迎されているのか。不思議に思う人がいてもおかしくありません。

『世界樹の迷宮』は、どんな魅力を持ち、なぜ受け入れられたのか。そして、シリーズ未経験のユーザーはどこに期待を寄せればいいのか。リマスター版の発売に向け、名シリーズの本質に迫ってみましょう。

■『世界樹の迷宮』ってどんなゲームなの?

3Dダンジョン型のRPGである『世界樹の迷宮』は、主観視点によるダンジョン探索が主体。入り組んだ迷宮を彷徨い、様々な敵と戦いつつ、トラップやギミックを乗り越え、最下層を目指します。

戦闘はターン制で、パーティの構成は基本的に5人まで。キャラクターは任意で作成し、職業の選択も自由。職業ごとにスキルツリーがあり、どのスキルを伸ばすかで、同じ職業でも戦い方や立ち回りが大きく変わります。

基本となるストーリーはあるものの、「ドラマチックな展開をテキストや登場人物の台詞で延々と語る」といった類のものはなく、物語の進行による描写は最低限。NPCの会話も短めで、パーティキャラも雄弁に喋ったりはしません。

ですが、「『世界樹の迷宮』にドラマはないのか?」と聞かれれば、その答えはNOです。表示テキストの中ではなく、プレイヤーがダンジョンで体験する全ての出来事がドラマになるのです。

例えば、一休みできそうな場所を見つけたので休憩したところ、予期せぬ敵から強襲を受けます。しかもその敵は、攻撃だけでなくも毒も付与。RPGにおける毒の扱いは様々ですが、『世界樹の迷宮』ではかなり強烈なスリップダメージを食らうので、甘く見ていたら即全滅コース。運が良くてもパーティ半壊、といった事態も招くことも珍しくありません。

しかも半壊状態で切り抜けたとしても、あらかじめ帰還手段を用意していない限り、街に戻るまでの道中に敵とのランダムエンカウントがあります。この状態から帰還できるか、それとも途中で力尽きるかは、プレイヤーの判断力と運次第。『世界樹の迷宮』に挑んだプレイヤーの多くがこの罠にハマり、生と死の境目を彷徨う体験を味わいました。ゲームのギミックとしてはシンプルですが、そこから生まれる緊張と焦りは格別。だからこそ忘れられず、記憶に刻まれるひとときとなりました。

こうした出来事は、『世界樹の迷宮』のあらゆる場所に転がっています。一瞬で街まで戻れる便利なアイテムがあるので一安心……と思いきや、小動物に盗まれて途端にピンチに。また、楽に勝てる相手と戦っていたら強敵に割り込まれ、命の危険を感じて逃げ出すなど、多彩なドラマがプレイヤーを待ち受けています。

いい意味で飾り気のないストーリー描写と、ギミックとゲームシステムから生まれるドラマ、その隙間から偶発的に形作られる「自分だけの冒険」が、『世界樹の迷宮』が持つ揺るぎない魅力と言えるでしょう。

『世界樹の迷宮』のどこがプレイヤーに支持されたのか?
《臥待 弦》
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  • スパくんのお友達 2023-02-21 9:00:58
    テキストがゲームブックのドラゴン・ファンタジーシリーズをリスペクトしているのもオジサンのハートを掴むのよ
    2 Good
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  • スパくんのお友達 2023-02-20 8:14:53
    真の意味で逆行はないんだよね
    リメイクじゃなく復刻作が大ヒットになることはないし、どこかで必ずブラッシュアップされてる
    逆行という名の前身
    3 Good
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  • スパくんのお友達 2023-02-20 4:47:40
    迷宮といっても徒に移動時間を伸ばすような無秩序な分岐に行き止まりのオンパレード、というワケではなくて、1フロアの中にもいくつかセクション分けされていて、それを少しずつ踏破していくのが快感だったかな 1フロア進むごとに新しい素材、素材から作れる装備やアイテムがどんどん増えていってマンネリも感じなかった 最新フロアに行くまでがダルいって言われるかもしれないけど「最初はあんなに苦戦していた雑魚がこんなに楽に倒せるように」って瞬間が堪らないんだよな
    MMORPGほど重くはないけど、じわじわとスキルポイント溜めて少しずつキャラビルド進めるのが好きな人にもオススメしたいかな
    17 Good
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  • スパくんのお友達 2023-02-20 3:29:44
    DSのリマスターなのか3DSのリマスターなのかどっちなんだ?3DS準拠の内容や難易度ならやめとこうかな…
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  • スパくんのお友達 2023-02-20 3:29:18
    DSのリマスターなのか3DSのリマスターなのかどっちなんだ?3DS準拠の内容や難易度ならやめとこうかな…
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  • スパくんのお友達 2023-02-20 1:17:12
    「FM音源からPCMへの移り変わりも業界の都合みたいなのがあったと思うんですよ。
     音源が変わってPCMがキャッチーだったからみんなそれに注力しちゃって
     FM音源って意味なく切られたって感じたんですよ。
     無くすべきでないのに無くしちゃったんだったらもう1回呼んでこようと。
     古いとかではなくて。」

    推測より開発者の言葉のほうが的確と思い、世界樹1のポッドキャスト第5回から
    新納一哉ディレクターのコメントを抜き出してみました。
    FM音源を「攻略ノートを書いていたRPG」、PCMを「ビジネスライクなRPG」に
    変換するとわかりやすいのではないでしょうか。
    12 Good
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  • スパくんのお友達 2023-02-20 0:48:47
    手動マッピングとか時代に逆行した部分よりも、ウィザードリィ時代には無かったスキルツリーを入れたり、シンボルエンカウントを限定的に導入したりというそういう古い物に新しい要素を足したところが受けたと思ってたんだけど違うのかな
    21 Good
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  • スパくんのお友達 2023-02-20 0:01:47
    単に時代の流れに逆行したい人が居て
    その客層を大事にしただけ
    それがなければ今頃世界樹というブランドは露と消えてただろうな
    0 Good
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  • スパくんのお友達 2023-02-19 22:02:57
    何かこう、インターネットによって「情報の加速」が進んだ影響が大きいのかなって感じる。
    それまで人気ジャンルとされていたモノは「情報の加速」によってあちこちへ支持が分散し、不人気ジャンルとされていたモノは、逆にあちこちへ分散してた支持が「情報の加速」によって収束し強固な支持を得るようになってる印象がある。
    3 Good
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  • スパくんのお友達 2023-02-19 20:10:13
    限定された市場だがファンはいる
    そういう市場に対して本気で取り組んでいった
    だからこれしかない需要に見事当たった客の総取り
    だが限定された市場ゆえにそれ以大きく上売れることはない
    同じジャンルにタイトルが溢れれば市場の食い合い
    だんだんと先細っていく
    BUSINみたいに渋いやつもたくさん出るべきだったね
    33 Good
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