気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、more8bit開発、PC/スイッチ向けに6月8日にリリースされたミニマルダークファンタジー『Bleak Sword DX』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、ジオラマのような狭い戦場で敵と戦うダークファンタジーアクション。元々Apple Arcadeにて配信されていた『Bleak Sword』に、アップデートを加えたDXバージョンで、レベルアップやボスの順序がランダムとなる「ランダマイザーモード」、限られた体力で全12体のボスと戦い抜く「ボスラッシュモード」などの新たなコンテンツが追加されています。日本語にも対応済み。
『Bleak Sword DX』は、1,200円で配信中。
――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Luis Moreno氏(以下Luis)こんにちは!Luis Morenoです。more8bitの創設者です(私1人で活動しています)。more8bitは、Apple Arcade向けのオリジナル版『Bleak Sword』をDevolverと一緒に開発するためだけに作った小さな会社です。
一番好きなゲームは1つではありませんが、いくつか選べるとしたら、まずは『Monkey Island』ですかね。フロム・ソフトウェアの『ソウル』シリーズも大好きです。そして Playdeadの『INSIDE』と上田文人さんの『ワンダと巨像』は名作だと思っています。
――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
Luis本作の特徴は、ジオラマ・アリーナにスプライト・キャラクター、そしてそれらを3D環境に配置し、限定的なカラーパレットを使用したミニマルなアートだと思います。このアイデアは、いくつか作っていたプロトタイプをミックスすることで思いつきました。
カラーパレットとミニマルなピクセルアートは、2Dで作ったメトロイドヴァニアのプロジェクトから持ってきたものです。それに、ジオラマがある別のプロトタイプをミックスしました。その結果、とても面白いものができるポテンシャルがあることにすぐ気づいたのです。
――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?
Luis本作のゲームデザインで受けたインスピレーションはたくさんあります。一番わかりやすいのは『ソウル』スタイルの戦闘で、すべての戦闘がちょっとした戦略性を持ち、高いリスクと高いリワードが得られるシステムになっているのです。
また、『Sword & Sworcery』のミニマルなピクセル・アート・スタイルからもインスピレーションを受けました。私がグラフィックのミニマリズムを愛するようになったのは、このゲームのおかげだと思っています。
また、「ベルセルク」のダークで重苦しい世界観からも影響を受けましたね…開発中は「ベルセルク」のサウンドトラックをよく聴きました。
――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを1つ教えてください。
Luis本作のアートを思いついた瞬間もさることながら、もう1つのクールだった瞬間は、その直後に訪れました。ゲームプレイの構造…まずはモバイル操作、それからゲームパッドの合理的な操作方法に行き着いたときです。
すべてをよりわかりやすく、ミニマルな方法で行うことを自らに強いることで、ゲームにまとまりができました。ミニマルなUIは、ミニマルなアートと共鳴し、また合理的なコントロールとも共鳴したのです。ゲームのすべてが同じ方向に向かっていたので、これは良い選択だったと思います。
――リリース後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。
Luisプレイヤーたちからのフィードバックは常に重要です。リリース前に何度もテストしましたが、どれだけテストしても、本当の試練はリリース後の最初の数日間なのです。プレイヤーたちから報告されたいくつかのバグを修正したほかにも、私はたくさんの細かな変更を加え、最終的な体験をより良いものとしました。
プレイが劇的に上手い人たちからも、プレイをより公平にするための小さな変更について、非常に有益な情報を得ることができました。例えば、重要な変更点の1つは、クモの攻撃にちょっとした警告を加えることだったのです。オリジナル版では、クモが不意にプレイヤーに飛びかかってきました。しかし、プレイが上手い人の場合、それは不要です。すべての攻撃は公平な方法でかわすことができなければなりません(非常に難しくても、可能でなければなりません)。ですので、そのちょっとした変更を加えるだけで、その攻撃を避けるのはまだ難しいものの、予測して避けることは不可能ではないのです。
――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。
Luis基本的に私の方針は、ゲームデザインとは関係なく、コードの欠陥が原因で発生したバグや問題であればすぐに修正するということです。そして、多くのプレイヤーが問題にしているようなことで、ゲームデザインに関係することであれば、それについて考え、最終的にその方が良いと思い、それが現実的であれば、それも修正したいと思います。
悲しいことですが、一人の開発者としては実装するのに時間がかかりすぎるような要望や、私が同意できないような要望を受けることもあるので、そういった変更はしないことにしています。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Luisもちろんです。より多くの人に本作を知っていただける素晴らしい方法だと思います。今や配信者は多くの若いゲーマーとの主なコネクションとなっています。
実際、本作のノーデスランやノーヒットランはすでに存在します。私の作ったゲームに献身的な(そして巧みな)人たちがいるのを見るのは、とてもクールなことだと思いますね。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Luis日本のプレイヤーの皆さんに感謝いたします。地球の裏側にいる人たちが、本作をプレイしてくれるなんて、ちょっと非現実的ですよね。皆さんが本作を楽しんでくれることを願っていますし、今後私が作る他のゲームもプレイしてくれると嬉しいです。
日本のゲーマーの皆さんはゲーム文化にとても精通していると思います。日本は間違いなく、昔からゲームの中心地の1つだからです。私の好きなゲームやゲームデザイナーの多くは日本出身です。
また、日本人はデザイナーと接するときに最も敬意を払う人たちであり、業界で働く私たちは皆、そのことをとても尊敬しています。ですので、心から、どうもありがとうございます!
――ありがとうございました。
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に700を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。
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