自動生成やパーマデス(一度死ぬとすべてを失う)など、さまざまな要素が絡み合い、何度遊んでも楽しむことのできるゲームジャンル「ローグライク/ローグライト」。今回の「げむすぱローグライク/ローグライト部」第27回では、PlayWithFurciferが開発し、IndieArkが販売を手がける非同期対戦荷物整理ローグライト『バックパック・バトル』をご紹介します。
『バックパック・バトル』とは

本作『バックパック・バトル』は、他のプレイヤーと非同期対戦(リアルタイムの対戦ではない、相手のデータだけを読み込んで戦闘)を行うPvPオートバトルゲームです。2024年3月にSteamにて本作の早期アクセスが開始され、2025年6月14日にバージョン1.0の正式リリースを迎えました。
プレイヤーは「レンジャー」「パイロマンサー」「メイジ」「リーパー」「バーサーカー」「アドベンチャラー」の6つのクラスから1つを選び、また初期装備をクラス固有の2種類、または初期装備がランダム編成される「びっくりサック」の計3種類から選択してゲームを開始します。

クラス・初期装備を選んでゲームを開始すると、商店の画面に移行します。この画面が装備の購入・更新、アイテムの選択、今後の戦略を決める最重要の画面です。商店に入ったときにある程度の金額が手に入るので、そのお金で商店のアイテムを買い、各キャラクターが持っている「バックパック」へと詰めていきます。また、たまに商店では「バッグ」が売られることもあり、バッグを購入することでバックパックの大きさを拡張することができます。

商店で必要だと思う荷物を買い込み、上部にある「バックパック・バトル スタート」を押すと、ランダムに選出された対戦相手とのバトルが始まります(本記事中では敵はすべて「対戦相手」と記されていますが、初期設定では実在のプレイヤー名が入ります。設定で切り替え可能)。各キャラクターはバックパックに詰め込まれた武器のクールタイムごとに攻撃を仕掛け、対戦相手にダメージを与えます。
武器を多く持てば持つほど攻撃の機会は増えますが(本作では武器の使用数制限は特にありません)、武器攻撃の多くは「スタミナ」を消費するので、1秒に1ポイント回復するスタミナとの兼ね合いで適切な武器の組み合わせを考えることが重要です。
またアイテムには武器だけでなく、戦闘開始時または一定期間ごとにバフやHPの回復などを与えるアイテムや、大きなバックパック領域を消費するが相手の攻撃を防ぐシールドが多く得られる防具など、多種多様なアイテムが存在します。これらのアイテムを組み合わせ、以下に強力な荷物編成をするかが本作の鍵となります。

相手プレイヤーに勝利すると勝利トロフィーが手に入り、敗北すると残機が1減ります。残機5を使い果たすまでの間に、10勝することが本作のゲーム*勝利*条件です。

ラウンドを進めると、各クラスごとにさらに5種類の「サブクラス」が用意され、より細分化された戦略を組むことが可能になります。現在のバックパックの中身とにらめっこしつつ、最大の戦闘力を引き出すサブクラスをよく考えて選びましょう。

また、本作には「アイテムの合成」機能も用意されています。特定の組み合わせのアイテムをバックパックに隣接した状態で放り込み、1回戦闘を行うとそれらのアイテムが合成され、より強力なアイテムに生まれ変わります。より厳しい戦いを勝ち抜いていくためには、こうした合成も活用していく必要があるでしょう。
バックパックに「シナジー」を極限まで詰め込めろ!荷物の最適化は世界を制す

本作に登場するアイテムは実に400種以上もあり、それぞれのアイテムが個性的な能力を秘めています。商店に並ぶアイテムはランダムですが、通常は特定のクラスでしか商店に登場しないアイテムなどもあるので、クラスごとにある程度目指すビルドは決まってきます。

アイテムによっては周辺のアイテムと「シナジー」を持つものもあります。スキル「キノコ農園」であれば周辺にある「キノコ」アイテムの発動速度を高めるという効果を持ちます。このアイテムの効果により大量に「テングダケ」の毒デバフを相手に振りまき、毒ダメージで勝つ……というのはクラス「リーパー」の強力なビルドの1つです。

またクラス「リーパー」専用アイテムとしては「ゲームカード」という装備もあり、これはバックパックから「スタートカード」から連結していくことで、カードに秘められた強力な攻撃をコンボとして繋いで発動していくというものです。このゲームカードの連携を主軸にしたビルドもかなり強力です。

どこかで見たことのあるようなカードが多いのはご愛敬。

このカード、『Balatro』で見たことある!(これに関しては公式相互コラボです)

クラスによっては「ふるえるぞハート! 燃えつきるほどヒート!!」な、火属性特化ビルドを組むこともできます。序盤から行動スピードを高めて一気に勝負が決まり、なかなか爽快なビルドです。

こうしてバックパックを極限まで整理してアイテム間のシナジーを最適化し、キャラクタービルドしていく本作は実に面白い。戦闘を眺めていて、想定通りのビルドが動いていくのを確認できていれば尚更です。

いろんなクラスでいろんなビルドを試して、10勝を目指してみましょう。

ゲームを繰り返して獲得した「トロフィー」は、タイトル画面の「クローゼット」から各クラスのキャラクターの衣装のアンロックに使うことができます。但し、多くのローグライトゲームと違ってアンロック要素を解放しても特にゲーム上有利になることはありません。これは本作がPvPゲームであるが故でしょう。

本作の問題点としては、「チュートリアル」が一切存在せず、「遊んで覚えろ!」という設計になっていることです。確かに基本ルールは「バックパックにモノを詰めていくだけ」と単純ですが、スタミナやアイテム合成やシナジーといった重要なシステムについては一切説明のないまま戦場に放り出されます。こればっかりは実際に遊んで覚えるしかないでしょう。ある意味、この不親切さこそプレイヤーの経験がそのままゲームの熟練となる「ローグライク/ローグライト」らしい……とは言えます(強引)
また、本作は世界ランキングの対象となる「ランクモード」、ランキングとは関係のない「カジュアルモード」に分かれており、初心者は一見カジュアルモードの方が遊びやすいように錯覚しますが、実際のところカジュアルモードには「実験ビルド目的の上級者」が多数混じっており、そういったゲームのセオリーを知り尽くした人とマッチングする可能性があるため、初心者にとってはカジュアルモードの難易度はランクモードよりはるかに高いです。ゲームを始めたばかりの初心者ならランクモードでマッチングするのも初心者であるため、ゲームに慣れるためにはランクモードを推奨します。
(なお、「サブゲームモード」としてルームマッチ機能などもありますが、これについては筆者未プレイなので解説をスルーさせてください)

何はともあれ、多数のクラス・スキル・サブクラスと膨大なアイテム、シナジー要素が無数のビルドを産む本ゲーム。ビルドに関しては商店に入荷するアイテムなどの一部に運要素があるものの、アイテムの引き直しなども活用して理想のビルドを構築できた時の楽しさは随一です。
また、本ゲームは2025年6月28日現在でも頻繁にゲームバランスの調整が行われており、ビルドの幅も今後さらに広がる可能性も残されています。
この荷物整理バトルで世界を獲れるのは、もしかしたらこの記事を読んでいるあなたかもしれません。
『バックパック・バトル』は、PC(Steam)にて配信中です。無料デモ版も用意されています。












