気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Stèphano M. M. G.開発、PC向けに1月20日に早期アクセスが開始された中世ファンタジーRPG『Elengard: Ascension』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、セミリアルタイムバトルを採用した中世ファンタジーRPG。選択肢が多くある会話システム、巨大なアビリティツリーを搭載した自由度の高いキャラクターカスタマイズ、アイテムクラフトやアイテムエンチャントなどが特徴。記事執筆時点では日本語未対応です。
『Elengard: Ascension』は、2,800円で早期アクセス配信中。


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
StèphanoStèphanoです。『Elengard: Ascension』のソロ開発者です。
一番好きなゲームを一本選ぶのは難しいですが、好きなゲームは『Dragon Age: Origins』、『DARK SOULS』、『ドラゴンズドグマ』、『NieR:Automata』、『Heroes of Might and Magic IV』です。もし一本だけ選ぶとしたら、おそらく『Dragon Age: Origins』になると思います。
――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
Stèphanoこのゲームの特徴は、ストラテジーとアクションという、現代では別々になってしまいがちな2つのジャンル(ターン制とアクションRPG)を融合している点にあると思います。さらに、「アビリティ設定(Ability Configuration)」も特徴の一つで、これは他のゲームではあまり見たことがありません。どちらのプレイスタイルも取り入れられていますが、本作はややストラテジー寄りのバランスになっています。
また、本作は昔ながらであり、近年ではほとんど見られなくなったセミリアルタイムというプレイスタイルを採用している点も面白いポイントです。このスタイルでは、ストラテジーとアクションのバランスがしっかりと取れており、今では失われつつある魅力を持っていると思います。
私は元々創作活動が好きで、子どもの頃から既存のゲームを基にしたテーブルトップゲームを自分でよく作っていました。また、『Neverwinter Nights』の大ファンでしたので、ツールセットを使って自分でModもよく作っていました。
やがて自分のアイデアがツールセットの限界を超えるようになり、さらにゲーム開発で収益も得たいと考えるようになったため、自分自身でゲームを作る決断をしたのです。
――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?
Stèphanoはい、主に『Neverwinter Nights』と『Dragon Age: Origins』から影響を受けています。その後、『DARK SOULS』にも出会いとても気に入ったため、これも大きなインスピレーションの一つになりました。
さらに、「ダンジョンズ&ドラゴンズ」やスピリチュアリズム、政治、哲学といった要素からも影響を受けています。そしてもちろん、「ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)」も欠かせない存在です!

――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。
Stèphano開発期間の大半は、軽い鬱状態や存在に関する悩み、政治への不満といった個人的な問題に影響されていました。そのため、これらを乗り越えて本作を完成させるために、自分自身を変える必要があったのです。
現在は体調も良くなり、以前よりも強くなれたと感じています。ゲームはまだ完成していませんが、最も困難な時期はすでに乗り越えました。おかしなことに、本作のテーマは「昇華(アセンション)」なのですが、この開発を通じて、自分自身もまた成長し、昇華していったように感じています。
――早期アクセス開始後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。
Stèphano様々なフィードバックをいただいていますが、全体的には、良い点としてビルドの自由度が高いこと、悪い点としてゲームの完成度(洗練不足)や難易度の高さについての指摘が寄せられています。
印象深いものとしては、快適性の低さがプレイヤーの皆さんにとってはかなり大きな問題として受け取られているようです。リリース後の具体的な例はありませんが、2024年にデモ版を公開した際には、UIモードしか存在せず、『Dragon Age: Origins』のように右クリックを押しながらカメラ操作をする仕様になっていました。これは多くの人にとって受け入れがたいものだったようです!そのフィードバックを受け、フリールックモード(Free Look Mode)を実装しました。
一方で印象に残っている良いフィードバックとしては、戦闘システムだけで10点満点をつけてくれた人がいたことです。その方は、戦闘の奥深さや複雑さを高く評価してくれました。
――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。
Stèphano常にフィードバックは注視しており、合理的だと思えるものはできるだけ実装するようにしています。現在のロードマップ(2月14日時点)は以下の通りです。
1年目(2026年):システムの改善と追加
アビリティツリーの完成
AIの改善/再デザイン(コンパニオンAIの操作性向上を含む)
UIの改善(見た目だけでなく構造面な部分も見直し、コントローラー対応しやすくする)
コントローラー対応の実装
最適化(エリア読み込みの改善、メモリ使用量の削減、NPC装備のメッシュ統合、AIの高速化など)
快適性の向上
インベントリシステムの再設計
2年目(2027年):仕上げとストーリー強化
ビジュアル/オーディオのブラッシュアップ(3Dモデル、アニメーション、効果音、マップの視覚的ディテールの向上)
ストーリーの強化(クエストの改善/再設計、新規クエスト/イベント/会話の追加)
※必要であれば、クエストやイベントに合わせて一部マップの再設計も行う予定です。
――本作の日本語対応予定はありますか?有志翻訳は可能ですか?
Stèphano予定はありませんが(ごめんなさい!)、これは今後も実装されないという意味ではありません。需要が高まれば、対応する可能性はあります。
しかし、良いニュースとして、本作は自分で翻訳を作成してゲームに追加することが可能です!詳しくは、本作のゲームフォルダ内「/Elengard Ascension_Data\StreamingAssets\Language」にあるREADMEをご確認ください。
有志翻訳に関しましては、メールアドレスまたは公式Discordサーバーからご連絡ください。これらの情報は、本作のSteamページに掲載されています。
――本作では、なぜ、そして具体的にどのように生成AIの生成物を使用しましたか?また、生成AIについてはどのような感情を抱いていますか?
Stèphano現時点では、コスト面の理由からボイスのみに使用しています。しかし将来的には、本格的な声優によるボイスの導入も検討しています。
生成AIについては、ポジティブな感情を抱いています。AIは、これまで実現できなかったことを可能にし、夢を形にする手助けをしてくれる「進歩」だと思っています。私のようなソロ開発者は、アーティストのチームを雇う余裕はありませんが、AIを使えば同等に近いクオリティのアートを生み出すことができるのです。
AIは、これまで限られた人だけが持っていた力をより多くの人に開放する存在だと感じています。AIに対する反対意見があることは理解していますし、アーティストが自分の作品をAI学習に使われることを拒否する権利があるという点にも同意します。
しかし、たとえ初期の生成AIがアーティストたちの同意なしに作られていたとしても、それを理由に「始まりが問題だったから全面的に禁止すべきだ」とするのは、始まりによって価値を判断する誤り(発生論の誤謬)だと思います。
悪いことから良いものが生まれることもあれば、その逆もあります。大切なのは、今存在しているAIが何をもたらすのか、そして未来にどのような影響を与えるのかを冷静に評価することです。「原罪」によりただ排除するのではなく、その評価をベースとし、メリットとデメリットを見極めるべきだと思うのです。
AIはアーティストの存在なしではありえませんから、彼らの存在がなくなることはありません。ただ、その数は減るかもしれません。それでも、私はメリットがデメリットを大きく上回っていると考えており、生成AIは受け入れるべき進歩だと思っています。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Stèphanoはい、もちろんです。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Stèphano日本文化の中で私がとても尊敬しているものの一つに、常に上を追い求める姿勢があります。これは私が子どもの頃から、特にアニメ「ドラゴンボールZ」を通して強く心に響いてきました。私は常に「もっと強くなりたい」と思う考え方が好きで、それが自分自身の人生観にも大きな影響を与えてきたのです。
そして最終的に、その考えは『Elengard: Ascension』にも反映されています。このゲームは、まさにその「成長し続けること」をテーマにしているのです。何らかの形で、私の人生の一部になってくれていることに、心から感謝しています!
――ありがとうございました。


◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に900を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。








