気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Zoady開発、PC向けに2月5日に早期アクセスが開始された仕立て屋シミュレーション『Tailor Simulator』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、その名の通り仕立て屋を経営する仕立て屋シミュレーション。お客さんからの注文に応じて様々な種類の生地からたくさんの衣服を作り、アトリエを経営・成長させていきます。スタッフの採用や時間通りに注文を届けるなど、生産プロセスの管理も重要な要素。日本語にも対応済みです。
『Tailor Simulator』は、1,000円で早期アクセス配信中。


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
HazarHazar Yıldırtanです。『Tailor Simulator』のリード開発者を務めています。
一番好きなゲームは、『ウィッチャー3 ワイルドハント』ですね。単なるゲームとしてではなく、まるで生きているような世界として感じられる作品です。このゲームが特別なのは、プレイヤー自身がその世界の中心にいると感じさせない点にあります。プレイヤーの周りでは数多くの物語が同時に展開されており、それらに関わるかどうかは完全にプレイヤーの自由です。また、会話での選択が本当に物語の結末に影響を与えるため、非常に深みがあります。
このように、ストーリーテリング、雰囲気、音楽、ゲームプレイが見事に融合することで、それは単なる「良いゲーム」ではなく、プレイ後も長く心に残る「体験」になるのです。
――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
Hazar『Tailor Simulator』は、仕立て、ファッション、そして衣服の製造を、鮮やかでカラフルかつ没入感のある世界で体験できる作品です。そしてこのアイデアは、ごく自然に生まれました。
ある日、友人たちと新しいゲームのコンセプトを考えていたとき、私はふと「自分の父の仕事を没入型のゲームにしてみたらどうだろうか?」と思い立ちました。その問いが、すべての出発点になったのです。
コンセプトそのものに加えて、プレイヤーの皆さんからのフィードバックを見ると、本作は多くのシミュレーター系タイトルとは明らかに異なる感覚があると感じていただけているようです。よくある汎用アセットパックに頼って作られた作品ではなく、本作は生きているように感じられる手作りの世界を目指しており、プレイヤーの皆さんもその違いに気づいてくださっているようです。
――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?
Hazar『Tailor Simulator』は、映画や他のゲームから影響を受けたものではありません。唯一インスピレーションを得たものは、私の父の小さな仕立て屋なのです。私の両親は共に仕立て屋で、街の中心に小さなアトリエを構えています。父は今でも毎朝7時に店へ行き、お客様のために働いています。
その工房には、2000年代初頭の雰囲気を感じさせる木製の家具や、所々剥がれてしまっている壁紙、そして至るところに仕立て道具やハンガーが置かれています。その雰囲気こそが、私にとって最大のモチベーションとなり、本物の感覚をプレイヤーに届けられるはずだと強く感じました。
本作は、私が特に誇りに思っているディテールが一つあります。ゲームの序盤で、プレイヤーが父からの手紙を開いて読むシーンがあるのですが、そこで表示されるイラストは、私自身が撮影した父の写真をもとに、アーティストが木炭スケッチ風に描き直したものです。そのアートは、こちらからご覧いただけますよ。

――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。
Hazar『Tailor Simulator』の開発にはおよそ450日かかりましたが、そのうち約120日間はまったく別のバージョンの開発をしていました。開発当初、ローポリグラフィックで本作を作る予定だったのです。
しかし、PRを担当しているチームメンバーの2人(MuhammetとUmut)との議論を重ねる中で、ローポリのアートスタイルでは十分な没入感を生み出せないこと、そして目指していた生地の表現を実現できないという結論に至りました。
そしてある日、私はローポリ版のプロジェクトフォルダを右クリックし、「削除」を選んだのです。完全にゼロから作り直すこととしたのです。これは開発チームにとって大きな転機となり、振り返ってみれば最善の決断の一つだったと思っています。
――早期アクセス開始後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。
Hazarリリース以来、私たちは本当に多くのフィードバックをいただいており、わざわざ時間をかけてまで意見を共有してくださるコミュニティの皆さんに心から感謝しています。ゲームプレイを大きく妨げたりするようなバグ報告は今のところありません。その代わりに多く寄せられているのは、新機能の追加を望む声であり、これは開発チームとしてとても嬉しいことです。
中でも、特に私の心に残っているメッセージがあります。あるプレイヤーがこう書いてくれました。「あまり良い話ではないかもしれませんが、ゲームに登場するこの手動のミシンにまつわることを書かせてもらいます。私はファッションデザイナーを目指して勉強していましたが、最後までやり遂げることができませんでした。家族との関係がとても大変だったのです。祖母がミシンをくれたのですが、最終的には生活のために手放さなければなりませんでした。でも今、そのミシンがこのゲームの中にあります。私は二度もファッションデザイナーを目指しましたが、結局はなれなかったのです」
こうしたお話を読むと、なぜ私たちがこのゲームを作ったのかを改めて思い出します。本作は単なるシミュレーターではありません。人によっては、本物の「心」を動かす作品なのです。
――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。
Hazar現在は、Steam Deckへの完全対応に向けて開発を進めています。4月の第2週または第3週には、Steam Deck向けの最適化アップデートと合わせて、大規模な装飾アップデートをリリースする予定です。
その後は、ゲーム内経済の改善や、スタッフ関連のシステムの導入に取り組んでいく予定です。今後の詳細については、Steamストアページで公開しているロードマップをご確認ください。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Hazarもちろんです。コンテンツクリエイター、メディア関係者、プレイヤーの皆さんが、どのプラットフォームでも『Tailor Simulator』の動画や配信を制作・収益化することを歓迎します。私たちはこのような活動を積極的にサポートしており、そのためにプロダクトキーの配布も行っています。興味のある方は、メールでご連絡ください。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Hazarまず最初に、このインタビューを実施してくださったGame*Sparkに心から感謝いたします。日本のプレイヤーの皆さんは、『Tailor Simulator』をここまで成長させてくれた大きな存在であり、お一人おひとりに心の底から感謝しています。
今後も本作はアップデートを重ねていきます。その中で、日本文化にインスパイアされたコンテンツも取り入れていく予定です。
本当にありがとうございます。皆さん一人ひとりに、心からの感謝を込めて。
――ありがとうございました。


◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に900を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。








