
先日、『アーマード・コア』シリーズへの独自の視点からの言及をきっかけに、多くの日本人から「ロボゲー・ロボアニメ詳しすぎな外国人」として知られるようになったオリー・バーダー氏。実は、氏はゲームやアニメを中心として日本サブカルを海外に長年伝えてきた記者であり、様々なタイトルにかかわってきたゲームクリエイターでした。
弊誌の取材に対して、そんな氏がこぼした最近の悩みと言えば「ロボゲーを作らせてくれるスタジオが見つからない!」ということなのだそう。そこで、本稿では、氏の文章を通じて、氏のもつ「ロボゲー・ロボアニメ」への視点や美学の一端をお伝えしていきたいと思います。
『スーパーロボット大戦Z』シリーズに夢中になったことで、海外では少し変わった人に見られてしまいました
先日、『スーパーロボット大戦』シリーズについて簡単にご紹介しましたが、このシリーズの中でも特に私が大好きな作品である『スーパーロボット大戦Z』シリーズについて触れ忘れていました。
このシリーズは当時、海外で正式発売されることがなかったため、私は日本から輸入し、すべて日本語で最後までクリアしました。当然ながら、そのせいで私が勤務していたゲームスタジオで、同僚たちから少し変わった人に見られてしまったのも、今となってはいい思い出です。
今回は、そんな『スーパーロボット大戦Z』シリーズのなかでも、お気に入りのひとつである『第2次スーパーロボット大戦Z 破界篇』がリマスターされるという嬉しいニュースを聞いたので、シリーズの思い出について改めて振り返っていこうと思います。
『スーパーロボット大戦Z』(2008年)

『第3次スーパーロボット大戦α』を大いに楽しみ、クリアした後、次にプレイステーション2で発売された作品が、初代『スーパーロボット大戦Z』でした。
『第3次スーパーロボット大戦α』は、私がエレクトロニック・アーツでシニア認証テスターとして働いていた頃、仕事が終わった後に遊んでいました。しかし、『スーパーロボット大戦Z』が発売された頃には、新しいゲームスタジオでシニアゲームデザイナーとして働いていました。
本作は『第3次スーパーロボット大戦α』からグラフィックが大幅に刷新され、ドット絵のスタイルから、よりアニメらしい表現へと移行しました。また、『第3次α』より制限のない編成を組めるようになり、戦略性もさらに深まりました。
初代『スーパーロボット大戦Z』は参戦するメカアニメのラインナップも非常に充実しており、お気に入りのユニットを次々と強化していくのが本当に楽しかったです。
しかし、新しい職場では周囲が(欧米的な趣味趣向の)ゲーム開発者ばかりになり、彼らはこのゲームがどのような作品なのか、また、なぜ私がこれほど夢中になって遊んでいるのかをあまり理解してくれませんでした。テスターとは異なり、ゲーム開発者は新しいものを見せられると、自分たちの専門性に対する間接的な挑戦だと受け取ってしまうことがあり、防御的で縄張り意識が強くなる傾向があります。
もちろん、私はそんなことは気にせず、このゲームを存分に楽しみました。また、『スペシャルディスク』も購入し、そちらも最後までクリアしました。なお、本作に登場する黒いオーバーマン「ザン」も、私のお気に入りのメカの一つです。
『第2次スーパーロボット大戦Z 破界篇』(2011年)

この年は、私の職業人生の中でも特に厳しい時期の一つでしたが、プレイステーション・ポータブルで『破界篇』を遊べたことは本当に嬉しかったです。
私にとって最大の新要素は、 「ファイナルダンクーガ」の復活でした。私は特にアニメが大好きなので、この機体はお気に入りのスーパーロボットのひとつです。
本作はよりストレートなゲーム性となっており、テレビで遊ぶ必要がなかったため、職場で周囲の人たちの邪魔をせずにプレイできたのも良かったです。
また、携帯機向けとして非常によくできた作品だったことも嬉しく、私がとても気に入っていたゲームボーイ版『スーパーロボット大戦』を思い出させる内容で、シリーズの原点に立ち返ったように感じました。
初代『スーパーロボット大戦Z』にあった小隊編成システムは廃止され、ユニットは近年の『スパロボ』でもみられるような単機制となり、マップもシンプルな俯瞰視点になりました。その結果、ゲーム性はよりストレートになり、力押しで進める楽しさが際立っていたと思います。
また、「天元突破グレンラガン」の参戦も素晴らしかったです。この作品は海外でも非常に人気のあるアニメで、メカアニメのファンではない人たちからも幅広く支持されていたのが、とても印象的でした。
もちろん、私は『破界篇』のリマスター版をプレイできることをとても楽しみにしていますし、新しいリマスター版が多言語対応になると聞いて、とても嬉しく思っています。
『第2次スーパーロボット大戦Z 再世篇』(2012年)

初代『スーパーロボット大戦Z』と『破界篇』の間には比較的長い期間がありましたが、プレイステーション・ポータブル向けの2作目となる『再世篇』は、そのわずか1年後に発売されました。
この頃には私は再び職場を変え、エピックゲームズで働いていました。日本のゲームを楽しむことに対して、エピックゲームズの職場の環境は以前とは大きく異なり、全体的により理解があり、オープンな雰囲気でした。
それはともかくとして、参戦するメカアニメのラインナップも今回も素晴らしく、『破界篇』からの続編として非常に満足できる内容だったと感じました。
基本的なゲームシステムは前作と同じでしたが、機体はさらに強力になり、新たな攻撃も数多く追加されていたのがとても良かったです。
願わくば、『破界篇』のリマスター版が十分な成功を収め、この『再世篇』もリマスターされることを期待しています。
『第3次スーパーロボット大戦Z 時獄篇』(2014年)

本作はシリーズで初めてHD表示に対応した作品であり、プレイステーション3版もプレイステーション Vita版も、それまでのプレイステーション・ポータブル版やプレイステーション2版と比べて、はるかに洗練された仕上がりになっていました。
もう一つの大きな特徴は、プレイステーション Vitaとプレイステーション3の間でセーブデータを引き継げたことです。そのおかげで、職場ではVitaで遊び、自宅に帰ってからはプレイステーション3で続きを楽しむことができました。
今となっては些細なことに思えるかもしれませんが、2014年当時は、まるで未来のゲーム体験をしているような気分でした。
先ほども述べたように、本作最大の変化はHD化でした。また、小隊システムも復活し、初代『スーパーロボット大戦Z』では3機編成だったのに対し、本作では最大2機編成となりました。
さらに、「タッグコマンド」や「マキシマムブレイク」といったシステムも追加され、撃墜数を重ねることで発動できるようになっていました。
いずれにしても、本作の発売の前年に、私は日本へ移住し、再びゲーム開発の仕事に携わっていました。そのため、欧米でシリーズをプレイしていた過去と異なり、『スーパーロボット大戦』シリーズを実際によく知り、好きな人たちに囲まれながらプレイできたのは、とても楽しい経験でした。
また、ゲームショップへ行って、そのまま店頭で普通にソフトを購入できるようになったことも本当に嬉しかったです。それまではずっと海外から輸入していたので、発売日にすぐ店頭で手に入れられるということが、とても感慨深く感じられました。
『第3次スーパーロボット大戦Z 天獄篇』(2015年)

本作は『時獄篇』の直接の続編であり、引き続きプレイステーション Vitaとプレイステーション3の間でクロスセーブ機能が利用できました。
戦闘アニメーションもさらに美しくなり、各ミッションではより綿密な戦略が求められるようになり、単純な力押しだけでは進めにくくなっていたことをよく覚えています。
また、「翠星のガルガンティア」からチェインバーが参戦したのもとても嬉しかったです。あの作品は、メカが実質的にパイロットの「相棒」のような存在であり、とても心温まる作品だと思っています。
さらに、「トップをねらえ2!」が参戦したことも本当に嬉しく、その戦闘アニメーションはまさに圧巻の出来栄えでした。
また、本作には『連獄篇』というダウンロード専用で配信された前日譚もありましたが、こちらも楽しくプレイしたことをよく覚えています。
『Z』シリーズは今でも本当に素晴らしいシリーズです
私は、『Z』シリーズがドット絵から、よりアニメの表現に忠実なアートスタイルへと進化し、さらにシリーズをHD化へ導いた点が本当に素晴らしかったと思っています。
「ファイナルダンクーガ」にもプレイステーション3で展開された作品へ参戦してほしかったとは思いますが、「ガイナックス」作品を中心とした豪華なラインナップが、それを十分に補ってくれました。
また、『Z』シリーズが、その後の『V』『X』『T』、さらに『30』、そして『Y』へと続くシリーズの土台を築いたことを考えるのも、とても興味深いです。
『V』以降の作品は英語版へのローカライズが行われ、最終的には世界中で発売されました。その流れを受けてか、今回『Z』シリーズの少なくとも一部にも同じ扱いがなされることを、私は本当に嬉しく思っています。
そして、今回リマスターされる作品には、私の大好きな「ファイナルダンクーガ」も登場します。
いずれにしても、海外のゲーム開発現場では、多くの同僚が私のように「理解しがたい」日本のメカゲームを遊ぶことに対して、防御的で縄張り意識の強い反応を示していましたが、それでも私にとって『Z』シリーズには数え切れないほどの楽しい思い出があります。
オリー氏とともに「ロボゲー」を作ることに興味のあるスタジオや団体は、この記事の末尾にある氏のプロフィールから個別に問い合わせていただけますと幸いです。
※UPDATE(2026/8/10 2:42):記事サマリーを更新しました。
※UPDATE(2026/8/10 16:42):本文中、第3次スーパーロボット大戦Z 時獄篇の言及内容を一部修正しました。










