物語を重視したゲームの続編が本当の魅力を発揮するには、前作の高評価なポイントを少し改善するだけでは足りません。プレイヤーが抱くシリーズへの期待を上回るような、斬新かつ新鮮な要素が必要です。 4A GamesとDeep Silverが送る『Metro』シリーズの三作目『Metro Exodus』では、暗くて狭いモスクワの地下道からプレイヤーを外界へ誘い、荒廃したロシアの土地に連れていくことで、その目標を達成しようと試みています。
編集部は「E3 2018」で行われた30分間の『Metro Exodus』試遊セッションに参加し、主人公“アルチョム”の新たな冒険の一部を体験。物語とゲームプレイに迫るレポートをお届けします。
『Metro Exodus』の物語は、アルチョムと仲間たちが装甲機関車オーロラ号に乗って、モスクワ地下道の外に暮らしている人間を探していく、というもの。デモ版の序盤シーンでオーロラ号は、何者かに仕掛けられたバリケードに突っ込み、ダメージを受けて停止してしまいます。何者かが罠を仕掛けたということは、まだ周囲に誰かがいるかもしれない……そんな不安に包まれつつ、アルチョムと妻のアンナは近くにある廃墟を調べていくことになるのです。
ゲームプレイのシステムや装備の使い方は前作と同様ですが、旅する土地の光景は完璧に刷新されています。あちこちが散らかっている田舎町の廃墟から、雲を突き刺す灰色の光まで、核戦争の痕跡が強くプレイヤーに伝わってくるのです。道を踏み外し過ぎると、ガスマスクを被らないととダメージを受けたり、ガイガーカウンターが反応することも。もちろん、怪物との遭遇も避けられません。
弾薬に困っていないところでたった一体の敵を相手取る程度ならなんともありませんが、弾薬はすぐに切れ、そのまま四体以上の敵集団に出くわしてしまうこともよくあります。そのときの「命がけで戦っている」ような感覚と、初めてミュータントからタックルを受けたときの衝撃は特に印象的でした。ちなみに、クラフティングで弾薬を作ることは可能ではありますが、素材が山ほどあるというわけでもありません。
探索しているうちに、トレイラーにも登場した「すべてのテクノロジーを放棄すべき」と主張するカルト教団に出会います。軍事技術の最果てとも言える核戦争を生き残ったことを考えると、無理もないでしょう。ちなみに、カルト教団の教会に辿り着くまでに体験した船の操縦は難しく、思い通りに曲がらなかったり、船を降りようとして水に落ちてしまうこともありました。
物語を進めていくと、教会で助けを求める親と子供に出会い、彼らを救うことになります。その後はカルトのメンバーと遭遇しつつ、オーロラ号に戻ります。そうしてオーロラ号のダメージを修復するために、救った母に教えてもらった人を探すのが次のクエストなのですが……その途中でタイムオーバー。デモプレイは終了となりました。
筆者の評価としては、出来栄えの良い作品であると感じました。グラフィックや声優の演技、景色や怪物などなど、すべての表現力が非常に高かったのです。戦闘も簡単にはいかず、「手持ちのすべて」を使わないと殺されてしまいます。それに、『Metro Exodus』というゲームへの没入感を崩すようなユーザーインターフェイスがありません。どこへ行けばいいか分からなければマップをチェックできますが、目的地へ辿り着くまでにどんなものと出会うのかは教えてくれません。
冒険中に道を少し外して、墜落した飛行機を発見。その中から目的地を示すコンパスのようなガジェットを見つけることもありました。そんな大事なアイテムが何のヒントもなしに隠されているとなると、探索プレイの喜びもひとしおです。クラフティングでは、弾薬や消耗品の作成以外にも武器や装備のカスタマイズが可能。プレイスタイルの豊かさを感じさせてくれました。
全体を振り返ってみると、船の操縦以外のマイナスポイントは感じられませんでした。『Metro』シリーズのファンなら、続編にふさわしいタイトルを期待して良いと思います。シリーズの経験のないプレイヤーにも、ストーリーとゲームプレイが支え合う作品をお好みであれば、『Metro Exodus』は要チェックな作品となることでしょう。
PS4/PC/Xbox Oneを対象とした『Metro Exodus』は、2019年2月22日に発売予定です。
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