平成ゲームメモリアル第5回「2010年代の大変化って?ーSteam・インディーゲーム・基本無料」 3ページ目 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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平成ゲームメモリアル第5回「2010年代の大変化って?ーSteam・インディーゲーム・基本無料」

平成のビデオゲームを振り返る連載の第5回。いよいよ現代に近づいてきた今回は、ダウンロード販売プラットフォームの登場や、インディーゲームの台頭による個人作家の活躍、そして基本無料でゲームが楽しめるようになった時代を振り返ります。

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「基本無料」の時代がやってきた


葛西祝「基本無料」のゲームが台頭していったことも驚きましたね。無料でゲームがプレイできる事を売りに、アイテム等で課金させていくビジネスモデルは、爆発的に浸透していきました。

SHINJI-coo-KF2P(Free-to-Play、基本無料ゲームの略称)はいまだに課金対象などの問題をはらんでいて、ビジネスモデルをずっと模索している印象がありますね。

Arkbladeいわゆる「アイテム課金」の流れですね。まず「Pay2Win」として課金者に対し強力なリワードを与え、他のプレイヤーに対して優位性を得るもの。次に「アバター課金」。そしてゲームの期間イベントの確定リワードを与える「バトルパス」ですね。

SHINJI-coo-KF2Pモデルは、10年代前半に「運営とプレイヤーとの間での“落とし所”」を課題として広がっていた気がします。その課題は今も続いているかもしれませんね。

葛西祝当時は買い切りがベストだと思っていたので、「基本無料」って違和感があったんですね。でもFPSも『Team Fortress 2』などが、どんどん無料化して、これが時代の流れなんだなと徐々に納得していきました。

SHINJI-coo-K自分の場合は、F2Pタイトルにあまり触れてこなかったこともあって、マルチプレイの買い切り型タイトルをプレイしていたら「いつのまにかF2Pの流れがやってきた」という感じがありますね。


Arkblade自分もあまりF2Pの流れには乗っていないのですが、『コズミックブレイク』が地味に印象深くて。いわゆるカスタマイズありの対戦ロボットゲーム(メカ少女もいます)で、課金で入手できるものは大抵強パーツなんですよね。

知ってる限りでは、新パーツが出るたびにユーザーが相手の強パーツを罵り合いながらひたすらガチャを回しだすという……これで「Pay2Winって明確に需要があるんだ」って納得しました。欧米含め、ユーザーから多く提唱されるフェアなプレイの流れからは邪道極まりないのですが、同時に「実はそういうのも需要あるんだろうなー」と思いました。

葛西祝一昔前らしい、課金すればするほど強くなるのが露骨な時代の話ですよね……Pay2Winは課金させるゲームデザインの荒さを代表していて、いくらなんでも平等な試合はできないだろうと基本無料ゲームの問題に挙げられていましたね……


G.Suzuki00年代後半では『バトルフィールド』シリーズでも、コミカルな『Battlefield Heroes』や『BF2』ベースの『Battlefield Play4Free』もありましたけれど、結局どれも主流になれなかったという印象が大きいですね……。

SHINJI-coo-Kなんにせよ2014年にSteamでリリースされたプロゲーマーのドキュメンタリーが、『Free to Play』というタイトルだったように、F2Pはホットな言葉ではありましたよね。

葛西祝ValveによるMOBA大会とプロゲーマーを押し出したドキュメンタリー映画!この映画自体も無料っていう(笑)これも基本無料だけではなく、あとのe-sportsの時代を先行して描いていましたね。

ArkbladeF2Pの強みはユーザーを広範に集められることです。その成功例が『フォートナイト』で、大規模大会が開催されるようになりましたね。

SHINJI-coo-K元手が掛からずプレイできる、という強みは本当に強みだったんだな、としみじみ……。

そしてスマホアプリの時代へ



葛西祝F2Pで長く遊んでいたのって、モバイルの『チェインクロニクル』なんですよ。キャラクターごとにストーリーがあって、それを見たくて課金していくタイプのゲームです。今は『Fate/Grand Order』がそのスタイルのトップですけど、キャラクターとストーリーにウェイトがあるあたりが面白いなあと思います。

SHINJI-coo-Kああー!ストーリーとキャラクターを見るために課金!すごいですよね、キャラクター性能でもないところにまさかの課金導線があるのは驚きました。


Arkbladeキャラクターそのものの需要ですよね。そういう意味ではやっぱり『アイドルマスター シンデレラガールズ』の影響はものすごかったです。モバイルゲームが盛り上がる流れはそれ以前からありましたけれども、『モバマス』以降、より多くのユーザー層がモバイルゲームを話題にしていたのを見ました。

G.Suzukiアイドルマスター』は2011年のアニメ版と、2016年の『アイドルマスター シンデレラガールズ』のアニメ版を中心に観ていました。ゲームの盛り上がりを外から見ていた感じだと、バンダイとナムコの良いところが合体して、ものすごい人気コンテンツにまで成長したのかなと思いますね。他にもスマートフォンでのF2Pを根付かせた印象が大きいです。

Xbox 360でリリースされた『アイドルマスター』では、登場キャラごとの衣装など小粒なDLCを大量リリースしたことで、ゲーマーから文句を多く言われていたのを覚えています。今では多くのタイトルでDLCが存在していますし、タイトルによってはDLCが求められているというのも、なんだか時代の流れを感じさせますね。

葛西祝そうですよね。モバイルゲームって、かつてグリーやDeNAが支配的だった時代は、従来のゲーマーからは「さすがにDLCありきの売り方はいかがなものか」という反発があったとおもうんですが、ガンホーの『パズル&ドラゴンズ』など、いろんな流れからそこに落ち着いていったなと思います。

Arkbladeあとモバイルの成長を支えたのはモバイル自体の通信性能・機器性能の向上もありますよね。

SHINJI-coo-K携帯って日常で使うものですし「サービス」って概念と相性がよかったと思うんですよ。それがモバイルゲームと親和性がよかったのかなと。

葛西祝日本でモバイルゲームが台頭した背景に、mixiなどのPC向けSNSが発達したことがガラケーと繋がったことも大きいですよね。グリーも当初はPC向けSNSでした。

SNSという死角から、ものすごいシェアを持ったグリーとDeNAがゲーム業界に現れて、当時わけがわからなかった(笑)。日本のソーシャルゲームが発達するベースに、彼らが提供するアバターやチャットサービスがあって、それを飛躍させるのにゲームが関わったのかなと考えています。

SHINJI-coo-K「交流ツールとしてゲームを利用する」感覚でプレイしていた人も自分の周りにはいました。モバイルゲームで知り合った人と友達になってオフ会をするという話も聞きましたし。ソーシャルゲームって「ゲームを通じて人との交流を楽しんでいる」というプレイスタイルを主軸にしているんでしょうね。

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《葛西 祝》

ジャンル複合ライティング 葛西 祝

ビデオゲームを中核に、映画やアニメーション、現代美術や格闘技などなどを横断したテキストをさまざまなメディアで企画・執筆。Game*SparkやInsideでは、シリアスなインタビューからIQを捨てたようなバカ企画まで横断した記事を制作している。

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