2023年7月14日より京都・みやこめっせにて開催されていた日本最大級のインディーゲームの祭典「BitSummit Let's GO」。会場内には所狭しと数多くの作品が展示され、多くの人々が試遊やイベントを楽しんでいました。
ドリコムブースでは、3Dアドベンチャーゲーム『Tokyo Stories』の展示が行われていました。本作は3Dをピクセルアートのように表現したビジュアルスタイルが特徴で、「誰もいなくなった東京」を舞台に、いなくなってしまった親友を探すひとりの少女の物語が描かれます。
本稿では『Tokyo Stories』の試遊レポートをお届けしていきます!
圧倒的なビジュアルは一見の価値あり!
試遊では、主人公・スズが消えてしまった親友・ユノを探して舞台となる東京の街を歩き回るシーンの一部を体験できました。プレイヤーはスズを操作しながら東京の街を歩くのですが、薄暗い路地を照らすネオンや看板、自動販売機などの「光の表現」が非常に印象的。固定カメラを採用している点も大きな特徴のひとつです。
マップをある程度歩いていくとスズのモノローグとともに、この街での「想い出」にインタラクトできるようなオブジェクトが登場します。
想い出では、かつてのスズとユノの交流の記憶が次々と映し出されます。それは出会いのシーンであったり、何気ない会話だったり、本当に二人の思い出としか言えないようなものばかり。それぞれのシーンは美しく、不思議な儚さを秘めています。
なんといっても本作を象徴するようなピクセルアート風の表現は圧倒的。揺れ動く髪の毛や小物といったものはもちろん、影の動きなどを含めて信じられないほど美麗に、そして息遣いすら感じさせるような微細な表現を極めています。
固定カメラの画面ではスティックでの自由な移動が可能で、操作性は快適です。とにかく作り込まれた街の情景を見たいという一心でスズを移動させていましたが、やはりどの画面でも“光と影”の描写がとても印象的でした。
2人の少女の思い出の先には……
今回の試遊は2人の少女の思い出をいくつか追憶するために街を歩くもので、映像と演出を体験するのが主な内容。それでもグラフィックとあいまった少女たちの表情や雰囲気、消えてしまったユノの会話など、気になる部分が目白押しでした。
特にユノの謎めいたメッセージや消えてしまう瞬間の演出、残されてしまった瞬間のスズが街に立つ雰囲気など、どの場面も美しいグラフィックが鮮やかに映し出しています。プレイ時間自体は決して長くなかったものの、その操作やゲームシステムの一部を感じさせるものとしては十分印象深いものでした。
ゲームの導線もわかりやすく、スズが歩いていくべき場所、調べるべきものなどがとても自然に見えるようになっています。光や影の表現や、ピクセル風3Dのナチュラルに柔らかい色合い、固定カメラゆえのオブジェクトの置き方など、ゲームデザインとしての良さもとても感じられます。
なお、試遊では首かけスピーカーを装着したのですが、ゲーム内のBGMや効果音など、印象的な場面での“音の演出”がとても自然に感じられる秀逸なものでした。製品が遊べるようになったら、耳で楽しむためのオーディオ環境を用意する方がいいかな、とも思います。
こだわりきったブースにも注目!
ドリコムブースの今回の展示では、舞台となる「誰もいなくなった東京」を表現するような、さまざまな小物が多く飾られていました。それは例えば自動販売機やキャラクターであったり、喫茶店の看板であったり、ひとつひとつのオブジェクトが世界観を表現しているものでした。
発表時から印象的だったピクセルアート風3Dというビジュアルスタイルは、実際に動かしてみると驚くほど自然で、アニメを見ているかのような美しいものでした。この素晴らしい映像美と、どこか儚げな世界観、美しくも謎の多き少女たち、多くの要素が融合して作られた物語は、とても先が気になります。
試遊版では登場しなかったものの、ゲーム内には「誰にも言えない秘密を隠しに、この町へやってきた青年」という、もうひとりの登場人物の存在も明らかになっています。主要キャラクター以外がマネキンのようになった東京を舞台で描かれる、次々と重なっていく物語。今後の展開も非常に楽しみです。
『Tokyo Stories』は、PC(Steam)/コンソール向けに発売予定です。
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※UPDATE(2023/07/18 18:16):本文内の記述を一部修正しました。コメント欄でのご指摘ありがとうございました。