「悪魔城」とノートルダム大聖堂が対峙する―『Castlevania: Belmont's Curse』開発者インタビュー。パリで描く“正と悪” | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

ハードコアゲーマーのためのWebメディア

「悪魔城」とノートルダム大聖堂が対峙する―『Castlevania: Belmont's Curse』開発者インタビュー。パリで描く“正と悪”

パリという舞台をいかにゲームデザインに落とし込むか

連載・特集 インタビュー
「悪魔城」とノートルダム大聖堂が対峙する―『Castlevania: Belmont's Curse』開発者インタビュー。パリで描く“正と悪”
  • 「悪魔城」とノートルダム大聖堂が対峙する―『Castlevania: Belmont's Curse』開発者インタビュー。パリで描く“正と悪”
  • 「悪魔城」とノートルダム大聖堂が対峙する―『Castlevania: Belmont's Curse』開発者インタビュー。パリで描く“正と悪”
  • 「悪魔城」とノートルダム大聖堂が対峙する―『Castlevania: Belmont's Curse』開発者インタビュー。パリで描く“正と悪”

2026年8月26日(水)~30日(日)にかけて、ドイツ・ケルンで世界最大のゲームイベント「gamescom 2026」が開催されました。

会場では、KONAMIが手掛ける「悪魔城ドラキュラ(Castlevania)」シリーズの新たな幕開けとなる最新作『Castlevania: Belmont's Curse(Castlevania: Belmont's Curse)』の開発陣にインタビューする機会をいただきました。

お話を伺ったのは、本作のプロデューサーを務める谷口勉氏(KONAMI)、そしてマーケティングディレクターのベランジェ・デュプレ氏、リードレベルデザイナーのサンドロ・ボルディエ氏(ともにEvil Empire)の3名。

本作は、『悪魔城伝説(Castlevania III: Dracula's Curse)』の後日談として15世紀のパリを舞台に描かれる、シリーズ最新作の2Dアクション。伝説の聖鞭「バンパイアキラー」を受け継いだトレヴァー・ベルモンドの後継者、ローズ・ベルモンドを主人公に、怪物に襲われた街と城の謎を探索していきます。

開発を手掛けるのは、ローグライトとメトロイドヴァニアを組み合わせたゲームデザインが話題を生んだ傑作インディーゲーム『Dead Cells』の「悪魔城ドラキュラ」コラボDLC「Return to Castlevania」でKONAMIとタッグを組んだEvil Empireとmotion twin。

発売まで2ヶ月を切り、ファンの期待が高まる本作。舞台であるパリについてのエピソードはもちろん、音楽や声優といったファン必見の要素まで、開発陣に実施したインタビューの模様をお届けします。


――本作はパリの街並みや教会建築など、ゴシック的な美意識が色濃く反映されています。ヨーロッパにはゴシック文化そのものへの土壌がありますが、そうした文化的背景を持たない日本のプレイヤーに向けて、本作の世界観をどう伝えたいと考えていますか?

ベランジェ・デュプレ:先に言っておきます。実はパリって常にゲームみたいに燃えてるわけじゃないです(笑)。

さて、冗談はそれくらいにして。本作のパリの街並みはゲームプレイにも影響を与える作りになっていて、非常にカッコよく仕上がっています。ゴシック建築の持つ「垂直性」や「壮大さ」が、僕らが本作のゲームプレイと世界観で目指したかったものにぴったりだったので、私たちの出身であるパリを舞台に選んだんです。

それと本作は「悪魔城ドラキュラ」シリーズですから、当然「悪魔城」が蘇ります。僕らは悪魔城の出現場所として、パリのノートルダム大聖堂にも近い実在する場所を選びました。

悪の象徴である建造物「悪魔城」が、この世の善を体現する神聖な建造物「ノートルダム大聖堂」と対峙する。これによって素晴らしいコントラストが生まれるんですよね。

それと、パリはカタコンベ(地下墓地)や墓地の広場が有名です。「悪魔城ドラキュラ」シリーズにとってはうってつけの舞台なので、そのような場所をプレイヤーに巡ってもらうのも、本作の見どころの一つになります。

谷口勉:「悪魔城ドラキュラ」シリーズの観点で見た時に、今の話はすごくいい話なんですよね。このシリーズは様々なゲーム、物語がありますが、根底には「正と悪」の対比というテーマが常に存在しています。

時に何が正で何が悪かが揺らぐ側面もありますが、シリーズを貫く核であることには変わりありません。

ですので、「ノートルダム大聖堂と悪魔城が、正と悪の対比として存在している」という構図は、シリーズのテーマ性を表現する上で完璧で、これ以上ないほどぴったりだと思いました。KONAMI側もこれに共感して、「今回はこのパリという舞台で行きましょう」と合意したんですよね

――今回の声優起用では、2004年の『悪魔城ドラキュラ 闇の呪印(Castlevania: Curse of Darkness)』以来となるキャストの復帰や、Netflixアニメ版からの続投(※)が話題になっています。今回のゲームでの演技において、過去の演じ方との違いや進化を感じた部分があれば教えてください。

※:2004年『悪魔城ドラキュラ 闇の呪印』ではアイザック役にLiam O’Brien氏が起用。Netflixアニメ版である「悪魔城ドラキュラ -キャッスルヴァニア-」にはGraham McTavish氏(ドラキュラ役)、Alejandra Reynoso氏(サイファ役)が起用されている。

サンドロ・ボルディエ:過去の作品から続投してもらう声優に対して、過去の仕事をできるだけ尊重するように努めました。例えば『悪魔城ドラキュラ 闇の呪印』で声優をつとめたLiam O’Brienなら、当時のゲーム内での演技と同じトーンになるように、過去のキャラクターのイメージを壊さないようと意識しました。

それ以外のキャラクターは、個性に最もマッチする声優を見つけるよう努めました。声優は僕らと一緒にキャラクターを作り上げていく存在だと考えているので、キャラクターとともに成長して「今のキャラクターなら、どう演じるのか」を一緒に考えるようにしました。

ベランジェ:これはサンドロが以前言っていて僕もすごく気に入っている言葉なんですけど、このゲームは「10年間会っていなかった古い親友に再会して、懐かしいという気持ちになる作品」なんだと思います。

なので、過去の俳優陣の再登板も、その気持ちになってほしいという思いから選びました。

谷口:ちなみに、配役についてはKONAMI社内でも「このキャラクターに合うのは誰か」と非常に悩み、何度も議論を重ねて候補を絞りました。

「どうしよう……」ってかなり悩んだ時期もあって、Evil Empire側とすれ違ったら大変だなとも思っていたんですけど、実際に候補を突き合わせてみたら見事に意見が合致していたんです。

互いの目指す方向性が完全に一致していることを実感できましたし、同じことを考えているんだなというのが伝わってきて、すごく嬉しかったですね。

――「Castlevania」は、日本と海外とで受け止められ方に違いはありますか?

谷口:僕の場合、日本のファンの熱量は自分に重ねてイメージできるんですけど、彼らのようにフランスで少年期を過ごしたわけじゃないから、海外のファンが本当のところどう受け止めてるのか、真の意味ではイメージしづらい部分はあります。

ただ、仕事として「悪魔城ドラキュラ」の過去の移植作品や今回の新作を担当することで、世界中の方の声を聞く機会がすごく増えたんです。それを聞く限り、「海外ではこう捉えられている」「日本ではこうだ」みたいな区別は基本的にないと感じます。

言葉や文化が違っても、みんな“同じひとつのゲーム”をプレイしてきているので、根っこにある感じ方や作品から得るものはきっと同じなんです。

実際、「このキャラのここがかっこいいよね」っていう感情は、日本のファンでもフランスやアメリカのファンで共通して持つことができますし、「俺はこのキャラあんまり好きじゃないけど、こっちが大好き」みたいな意見の分かれ方も、国によって差があるようなものではないです。

どちらかというと国や文化の違いというより、「どの作品が好きか」「どの作品からシリーズに入ったか」っていう、個人の体験による違いのほうが大きいんじゃないかなと感じています。

――シリーズを象徴する要素の一つに音楽がありますが、本作では新たな座組でサウンドを制作されていると伺っています。歴代シリーズが築いてきた「悪魔城ドラキュラ」らしいサウンドをどう継承し、どう更新しようとしているのか教えてください。

ベランジェ:シリーズのサウンドトラックは、誰もが愛する無数の名曲があることで知られています。だからこそ、新しい物語やキャラクターが登場するたびに、常に新しいサウンドトラックを作って更新するというのは、新作を作るにあたって必然だと思うんです。

なので開発当初から、ローズという新主人公と『Castlevania: Belmont's Curse』には当然新しいサウンドトラックを用意すべきだという考えは明確にありました。ゲーム本編の制作と同様に、ものすごいプレッシャーでしたけど。

このサウンドトラックを作るにあたって、僕らがまず必要としたのは「ローズとは何者か」を明確に方向づけて定義することでした。ローズを単なる1人のキャラクターとしてではなく共に戦う仲間として捉えて、「彼女にはどういう音楽が合うだろう」と考えながら制作しましたね。

ちなみに、僕自身もこのシリーズのファンなので、もしかしたら過去のすごくいい楽曲がもう一度聞けるかもしれませんよ。

谷口:これまでのシリーズ作品には、有名で思い出深い名曲が数多く存在します。でも一方で「悪魔城ドラキュラ」がこれまでずっと守り、受け継いできた姿勢というものがあります。

それは「新しいキャラクター、新しい物語、新しい体験が生まれる中で、必ずその作品を象徴する曲を作る」ということ。そして「キャラクターの感情や物語に寄り添い、プレイ中に最大限盛り上がったり、感情移入できる楽曲を作る」ということです。

今回の『Castlevania: Belmont's Curse』も例外ではありません。「ローズの物語に対して、どういう楽曲がベストなのか」というアプローチで制作しています。

ローズを通してゲームをプレイする中で、新しい楽曲を存分に楽しんでいただきたいですし、ベランジェが言ったように「あ、このフレーズは!」と過去の音楽を彷彿とさせる瞬間もきっとあると思います。


『Castlevania: Belmont’s Curse』は、2026年10月15日にPS5、XBOX Series X|S、XBOX on PC、PC(Steam)、ニンテンドースイッチにて発売予定。現在予約受付中です。公式サイトでは早期購入特典/予約特典とMidnight Editionの内容も公開されています。


《タナカハルカ》


気さく タナカハルカ

インディーゲームデベロッパー・よんとんトマチンのメンバー(ヤムニャン学園)として『ふりかけ☆スペイシー』を開発。著書『海外ゲーム音楽ガイドブック ビデオゲームからたどる古今東西の音楽』『楽曲派アイドル・ガイドブック ももクロ以降のアイドルソング再考』。寄稿『ユリイカ2025年12月臨時増刊号 総特集=大貫妙子』『DAWN N°2』など。毎週新高円寺で会える。

+ 続きを読む

編集部おすすめの記事

特集

連載・特集 アクセスランキング

アクセスランキングをもっと見る

page top