
先日、『アーマード・コア』シリーズへの独自の視点からの言及をきっかけに、多くの日本人から「ロボゲー・ロボアニメ詳しすぎな外国人」として知られるようになったオリー・バーダー氏。実は、氏はゲームやアニメを中心として日本サブカルを海外に長年伝えてきた記者であり、様々なタイトルにかかわってきたゲームクリエイターでした。
弊誌の取材に対して、そんな氏がこぼした最近の悩みと言えば「ロボゲーを作らせてくれるスタジオが見つからない!」ということなのだそう。そこで、本稿では、氏の文章を通じて、氏のもつ「ロボゲー・ロボアニメ」への視点や美学の一端をお伝えしていきたいと思います。
クラシックなガンダムゲームについて語る、ここ数回の一連の記事の締めくくりとして、今回はセガサターン向けに発売された『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY』三部作を取り上げたいと思います。
これまで取り上げてきた他のガンダムゲームとは異なり、『THE BLUE DESTINY』シリーズは海外では一度も発売されませんでした。それにもかかわらず、現在でも非常によく知られており、驚くほど大きなファン層を抱えています。その理由については後ほど説明します。
もっとも、個人的な立場から言えば、私は当然これらの作品をプレイしており、非常に高く評価しています。実際、セガサターンで発売されたこの三部作は、歴代ガンダムゲームの中でも最高峰のシリーズの一つではないかと思っています。
コックピットに閉じ込められたような感覚

『THE BLUE DESTINY』シリーズで最も印象的だった要素のひとつは、モビルスーツの閉鎖的で窮屈なコックピットの中から、一人称視点でゲームをプレイする点でした。
もうひとつ興味深い選択だったのは、少なくとも序盤ではガンダムではなく、一般的なジムを操縦することです。
この二つの決断によって、ゲームは非常に現実味があり地に足の着いたものとなり、同程度の性能を持つ敵機が最初から本物の脅威として立ちはだかりました。
当時より数年前には、『メックウォーリア 2』のようなゲームが海外で非常に人気を博していました。これらもコックピット視点での戦闘を採用し、同様に強力なメカ同士の戦いを描いていました。しかし、『メックウォーリア』とは異なり、『THE BLUE DESTINY』シリーズは速かったのです。本当に驚くほど速かったのです。
通常のジムであっても、高速でブースト移動したり、大きくジャンプしたりすることができました。この高い機動性を実現するために、本作には切り替え式のロックオン機能も搭載されており、敵機を捕捉すると、その敵に追従しながら周囲を高速で移動することができました。
また、序盤ではビーム兵器を持たず、通常のライフルとビームサーベルだけで戦うことになります。そのため、複数の敵を撃破するには両方を使い分けることが重要でした。同時に、武器の選択や管理も非常にシンプルで分かりやすいものになっていました。
さらに、本シリーズのテンポも素晴らしいものでした。三作とも比較的短い作品として順次発売されており、第1作ではジムを操縦し、第2作では前作で敵として登場した新型のブルーディスティニーに搭乗します。そして第3作にして最終作では、ついにガンダムとビームライフルを手に入れることになります。
タイトルにもなっているブルーディスティニーのモビルスーツには、謎めいたEXAMシステムが搭載されていました。このシステムは、モビルスーツの性能面において、一般のパイロットをニュータイプに近い存在へと変えるものでした。その理由は、EXAMシステムそのものが、マリオンというニュータイプの少女の意識を閉じ込めたものだったからです。
ゲームプレイの面では、EXAMシステムはコックピット内で警告表示が点滅する程度で、劇的な変化をもたらしているようには見えませんでした。しかし全体的に見れば、ブルーディスティニーの機体は、最初に搭乗するジムよりも高い性能と機動力を備えていました。
シリーズの大半は地上戦を中心に、地球を舞台として展開されますが、最終作では宇宙へと戦場が移ります。さらにシミュレーターモードも収録されており、初代ガンダムに搭乗したアムロと戦うこともできました。
友人より先にクリアしてしまった話
これらのゲームが発売された当時、私はセガサターンを持っていませんでした。そのため、最初にプレイしたのは友人の家でした。
当時は、私も友人たちも日本からゲームを直接輸入し、それに合わせて輸入した日本のゲーム機で遊んでいました。
以前のコラムでも一部触れましたが、当時は日本での発売と海外版の発売との間に長い時間差があるのが一般的でした。また、多くのゲームはそもそも海外で発売されないことも珍しくなく、この『THE BLUE DESTINY』シリーズもその一例でした。
そんなわけで友人の家に泊まり込んでいた際、私は三作品を一気に遊び進め、最終的には宇宙でニムバス・シュターゼンが操縦するブルーディスティニー2号機との戦いにまでたどり着きました。
その時は知らなかったのですが、その友人は第1作の最終ミッションをどうしてもクリアできずにいたそうです。しかし私は、ビームサーベルをひたすら振り回して強引に押し切るという方法で、初挑戦であっさりクリアしてしまいました。
残念ながら、友人はかなり不満だったようです。というのも、その後アムロとのシミュレーターミッションも、ほぼ同じ戦法でクリアしてしまったからです。
若い頃はこうしたことがよくあったので、私は友人の家に遊びに行った際には新しいゲームをプレイしないほうがよい、ということを学びました。
それから何年も後になって、私は自分用のセガサターンと、三作品を収録した『THE BLUE DESTINY』のコンプリート版も購入しました。もちろん再び全作品をプレイし、私のサイト「Mecha Damashii」でレビューも執筆しました。そして満点を付けました。というのも、このゲームは本当にそれだけ素晴らしかったからです。
『第08MS小隊』とのつながりと、不思議な海外マンガ展開
先ほども触れましたが、これらのセガサターン用ゲームは海外で発売されなかったにもかかわらず、現在でもよく知られており、多くのファンに支持されています。
その理由は主に二つあります。まず一つ目は、「新機動戦記ガンダムW」を除けば、海外で特に人気の高いガンダム作品のひとつが「機動戦士ガンダム 第08MS小隊」だったことです。その泥臭く軍事色の強い世界観やメカニックデザインは、海外ファンから非常に高く評価されています。
そして、『THE BLUE DESTINY』シリーズに登場するモビルスーツの多くは、「第08MS小隊」に登場した陸戦型ガンダムをベースにしたデザインとなっています。そのため海外のファンは、これらの機体がどこから来たのかを知りたがるようになりました。

そして、これが二つ目の理由にもつながります。ゲーム自体は海外で発売されなかったものの、1996年のオリジナル漫画版は英語に翻訳され、1999年に海外で出版されました。そして、この作品もまたかなりの人気を集めました。
この漫画版で描かれていたのは最初の二作品の内容だけでしたが、それでもファンの反応は非常に好意的でした。というのも、多くの読者がこの作品を「第08MS小隊」の世界を補完・拡張する物語として受け止めていたからです。
現在では新しい『THE BLUE DESTINY』の漫画版も存在していますが、残念ながらこちらはいまだに海外では発売されていません。個人的には非常にもったいないことだと思います。
さらに、その後に発売されたPlayStation 2やそれ以降の家庭用ゲーム機向けガンダムゲームの多くに、ブルーディスティニーの機体が参戦したことも大きな追い風となりました。そうした登場機会の積み重ねが、海外ファンの間での人気をより確固たるものにしたのです。
『THE BLUE DESTINY』三部作はリマスターされ、海外でも発売されるべきだ
ブルーディスティニーの機体は、その後もさまざまなガンダムゲームに登場してきました。しかし私は、この三部作こそが現代のゲーム機向けに単独でリマスターされるに値する作品だと思っています。
もちろん、その試みが一部実現された作品として、PlayStation 3向けの『機動戦士ガンダム サイドストーリーズ』があることは理解しています。しかし、この作品では『ジオニックフロント』を含む複数のゲームが「リメイク」されていた一方で、実際のプレイ感覚は元となった作品とは大きく異なっていました。
また、ブルーディスティニーのROBOT魂が発売された際には、それらが海外でも販売されたことも特筆すべき点でしょう。
オリジナルのゲームが一度も海外で発売されていないことを考えると、それだけでも『THE BLUE DESTINY』シリーズが日本国外で非常に強い訴求力を持っていることが分かります。
もちろん私もブルーディスティニー関連のROBOT魂はすべて購入しましたし、今でもコレクションの中でも特に大切な存在です。FPSゲームが海外で非常に人気であることを考えれば、なぜその流れを活かして新たな『THE BLUE DESTINY』リマスターを作らないのでしょうか。私は十分に成功する可能性があると思っています。

オリー氏とともに「ロボゲー」を作ることに興味のあるスタジオや団体は、この記事の末尾にある氏のプロフィールから個別に問い合わせていただけますと幸いです。








