業界を面白くするのはインディーの“フッ軽”さ―元SIE・吉田修平氏が首ったけのゲーム、AI活用の見据え方…ベテランに話を訊いてきた【吉田輝和のOIGS絵日記インタビュー】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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業界を面白くするのはインディーの“フッ軽”さ―元SIE・吉田修平氏が首ったけのゲーム、AI活用の見据え方…ベテランに話を訊いてきた【吉田輝和のOIGS絵日記インタビュー】

吉田氏がハマっているゲームは?AIについてどう思う?今の大ヒット作が多数生まれるインディー業界をどう見ている?などなど……存分にお話を訊いてきました。

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業界を面白くするのはインディーの“フッ軽”さ―元SIE・吉田修平氏が首ったけのゲーム、AI活用の見据え方…ベテランに話を訊いてきた【吉田輝和のOIGS絵日記インタビュー】
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大阪のインディーゲームイベント「OSAKA INDIE GAMES SUMMIT 2025(以下、OIGS2025)」は、初日から多くの来場者で賑わい、大盛況で初開催を終えました。

そしてその会場にはなんと、ソニー・インタラクティブエンタテインメントを退社し、現在はインディーゲームシーンのさらなる発展に尽力する吉田修平氏の姿が! 会場で数々のゲームを試遊し、とても楽しまれていました。

そんな吉田氏へ、イベントの取材で参戦していたGame*Spark編集部員、そしてお馴染み・吉田輝和おじさんが直撃インタビューを実施。吉田のおじさんは吉田氏と苗字が同じという稀有な縁もあり、ゲムスパの吉田×ゲーム業界の吉田氏という組み合わせが実現しました。

近年、日本のインディーゲーム界隈は『8番出口』『パルワールド』といった世界的ヒット作を次々と生み出し、大きな盛り上がりを見せています。その最前線を見つめ続ける吉田氏は、この現状をどう捉えているのでしょうか。

本稿では、吉田氏がOIGSで注目したタイトルから、最近お気に入りのインディーゲーム、業界の展望、そしてAIがもたらす未来まで、多岐にわたるテーマで語っていただいたインタビューを、吉田のおじさんのイラストと共にお届けします。

※インタビュー実施日は10月5日のため、当時発売前でも記事掲載時点で発売済みのゲームがございます

◆メンヘラ女子とのチンチロや、悪魔わからせADVもプレイ!最近満喫しているゲームは?

――OIGSに来場してから、一番最初に試遊したタイトルは何でしたか?

吉田修平氏(以下、吉田氏): 昨日会場に来て、最初に遊んで「これは面白い!」と思ったのは、Pico Gamesさんの『奈落のキッチン』ですね。

これはPRG的に遊べるサバイバルアクションゲームなのですが、仲間は勝手に戦って進んでいくんです。プレイヤーはその後ろでひたすら食材や素材を集めて、料理を作って仲間に与えるという、後方支援に徹するゲーム性がすごく斬新で面白かったですね。

『奈落のキッチン』
『奈落のキッチン』

その次に遊んだのは『メンヘラリウム』です。『Balatro』のようなサイコロを使ったゲームで、女の子のキャラクターが喜ぶような会話をしないと、自分のライフが削られてしまうシステムがユニークでした。

『メンヘラリウム』

そして、一般デーの朝一番には、開場前に悪魔わからせアドベンチャー『でびるコネクショん』を遊ばせていただきました。このタイトルは「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT」で審査員をしていた時にもプレイして面白かった作品で、今回はさらに完成度が高くなっていましたね!

発売が近いということで、さらに先の方まで遊べました。すごい人気なので、開場前に遊べて嬉しかったですね。

『でびるコネクショん』

――OIGSに出展しているかどうかは問わず、最近遊んで気に入ったインディーゲームはありますか?

吉田氏: たくさんありますが、まず『ホロウナイト:シルクソング』はプレイしています。難しくて「これにばっかり時間を費やしてちゃいけない、もうやめよう」と思うのですが、次の日にはまた手を出してしまうんですよね(笑)。

『ホロウナイト:シルクソング』

あとは『Hades II』です。早期アクセス版を遊んでいたんですが、ニンテンドースイッチ2で遊びたくて新たに買いました。クロスセーブに対応していたので、PCの続きから遊べて最高です。完成度の高さは言うまでもありません!

『Hades II』

そして僕が皆さんにおすすめしたいのは、漢字だけで作られたゲーム『文字遊戯』です。数年前にリリースされた中国語版が話題になりましたが、日本語へのローカライズにあたってパズルなども作り直されたんですよ。

◆ときにはゲームで感動して涙する吉田氏のGOTY候補

――あれは本当にすごいですね……! 元から日本のゲームかと思ったぐらいです。

吉田氏:私は開発者の方と仲良しで、デバッグも兼ねてプレイしましたが、本当に素晴らしい。ちなみに、エンディングの後にも、さらにその先にも驚くような隠し要素があって、そこがまた面白いんですよ。

あまりに隠し要素が多いので、開発者さんに「どうしてここまで隠すの?」と聞いてみたところ、「隠すのは悩んだけれど、誰かが見つけて話題になるだろうと思って」と言っていました。中国語版ではまさに話題になったみたいで、日本語版でもその仕組みが残っています。隠しの隠しが面白いですよ、「えー!」みたいなものがありますから(笑)。

『文字遊戯』

それから、私が個人的に“感動して涙したゲーム”がありまして……。ひとつ目は有名な『風ノ旅ビト』、2つ目は瞬きで物語が進む『Before Your Eyes』です。これはプレイヤーが瞬きした時だけシーンが進むゲームです。

ストーリーは少年の短い人生を追っていくという内容で、2~3時間でプレイできるのですけれども、もうストーリーの終わりはほとんどの人が涙するぐらい良いゲームです。

『Before Your Eyes』
『Before Your Eyes』

――瞬きで進むのに、感動して泣いちゃう……。

吉田氏:瞬きをすると、大事な会話を見逃してしまうこともあります(笑)。最終的なストーリーが素晴らしいですね。

そして、その『Before Your Eyes』の開発チームが手掛けた新作が、11月12日リリースの『Goodnight Universe』です。こちらも完成間近のバージョンをプレイさせていただきましたが、前作とはまた違うSFの味わい深いストーリーで非常に面白かったです。これはおすすめしたいですね。感動して泣いたゲームの3本目になりそうです(笑)。

ほかにも、私がずっと「今年のGOTYになるだろう」と言っているのが、『Baby Steps』です。これは『壺おじ(Getting Over It with Bennett Foddy)』のクリエイターが作ったゲームで、足を滑らせたら下に落ちてしまう、いわゆるイライラ系の作品ですね。右足左足で順番に歩くんですけども、慣れてくると歩けるようになるのが嬉しい。

『Baby Steps』

あとは、まだGOTY候補がありまして……“ロッククライミングのダークソウル”とも言える『Cairn』(2026年発売予定)です。ちなみに、“ロッククライミングのダークソウル”は開発者自らが言っています。

手と足をどこに置くかひとつひとつ自分で決めながら登っていくのですが、下に落ちてしまうシビアさがあります。巨大な岩壁に対して「どこから登ろうか」と自分でルートを切り拓いていく自由度の高さが魅力で、他に類を見ないゲームですね。

『Cairn』

開発途中のバージョンを遊ばせてもらいましたが、少しずつ登っていって、ようやく平らな場所にたどり着いた時の達成感はとてつもないものがあります。最初のチュートリアル的な崖を登るのすら難しいけれど、それを乗り越えて操作に慣れていく過程も楽しくなっちゃう。

見ているだけでもヒリヒリする緊張感があるので、きっと配信映えもするんじゃないでしょうか。これは本当に面白いですよ。

『Cairn』

◆今のインディー業界は「夢のある」循環が生まれている

――確かに登山はリアルでしようとすると大変すぎますが、その達成感をゲームで味わえるのはすごいですよね。達成感を再現するための“ダークソウルライク”なんだと理解できます。
そんな多種多様なインディーゲームですが、ここ10年で業界はどう変わったとお考えですか?

吉田氏: 新しいパブリッシャーが毎年のように生まれるなど、若いクリエイターにとってチャンスがすごく増えていると感じます。イベントで作品を展示すれば、ファンディングを受けたりパブリッシャーのサポートを得られたりする確率が格段に上がっていますね。

――露出の機会が増えた、という感じですよね。

吉田氏:特に面白い流れとして、自分たちのタイトルが成功したインディーデベロッパーが、パブリッシャー側に回るケースが増えています。『パルワールド』で成功したポケットペアさんもそうですし、VRゲームのMyDearestさんもそうですね。これは世界的な潮流で、『SUPERHOT』のチームなども同様の活動をしています。

『SUPERHOT』

彼らは自分たち自身がインディーデベロッパーなので、苦労がわかるし、他のクリエイターを助けたいという共感が根底にあるのだと思います。インディーゲームで大ヒットが生まれると、その資金が次の才能に投資される。そういう「夢のある」循環が生まれているのは、すごく良いことですね。

――そんなインディーゲームは、まさに「大手企業の傘下にある小規模スタジオ」や「大手企業から多大な資金援助を受けているデベロッパー」など、千差万別です。ゲーマーの間では大手が関わっていると「インディーゲームとして扱うべきかどうか」と意見が割れることがありますが、吉田さんはどうお考えですか?

吉田氏: 私は「インディースピリットがあればインディーと呼んでいい」と思っています。もともと「インディー」は独立して個人で制作しているという意味合いでしたが、その言葉の定義はもっと広がったと考えるべきでしょう。

グローバルな調査でも、ユーザーが「インディーゲーム」という言葉に抱くイメージは、「クリエイティブ」「新しいことに挑戦している」「価格が安い」など、非常にポジティブなものがほとんどです。ですから、開発者が「これはインディーゲームだ」と言うなら、それで良いのではないでしょうか。自己申告で良いと思っています。

かつての日本では、「インディー」という言葉に同人的・アマチュア的なイメージがあったかもしれませんが、『8番出口』や『パルワールド』のようなヒット作の登場で、そのイメージは大きく変わり、ポジティブなものになってきているのではないかなと期待を抱いています。

『パルワールド』

◆AI×ゲーム開発の現場、インディーならではの活躍の仕方がある

――近年ではインディーゲーム制作にあたり、画像生成だけでなく、コーディングや作曲でもAIを活用した事例が増えていますよね。SteamでもAI基準のガイドラインが設けられています。「AIを使ったインディーゲーム開発」は今後どうなると思いますか?

吉田氏: AIはインディーか大手を問わず、すでにゲーム開発のあらゆる場面で活用されていますよね。例えば、企画書のコンセプトアートを生成AIで作成したり、開発途中の仮ボイスをAIに読み上げさせたり、時間短縮のためにごく普通にAIが現場で活躍しているみたいです。

また大きなゲームだとテストプレイがすごく大変なので、それを効率化させるためにAIがプレイヤーのようにプレイすることもやっています。これらは実際のゲームにはでてこない形で使われている例ですが、やっぱり面白いなと思うのはAIそのものをゲームのコンテンツとして使っているケースですね。

あと、私はTGS2025の「SELECTED INDIE 80」審査員で、今年は応募された1,530ぐらいほどのタイトルの中から、80本を選出していたんです。審査員グループも必死になって、土日も使ってトレイラーとか数百本を見つつ選出しました。

――大変ですね……!

吉田氏:そこで選ばれた『噺の話(はなしのはなし)』のように、AIと対話して物語を進めるゲームや、AIが容疑者となってプレイヤーが自由なテキスト入力で尋問するゲームなど、クリエイティブなAI活用の発想がインディーゲームから生まれています。

従来通りの決められた選択肢を選ぶのではなく、自分の言葉でゲームと対話できるというのはすごいことですよね。こういう発想と、それをすぐに形にできるスピード感は、まさにインディーならではと思います。

今はサービスのサポート面でもAIがその役割を担うようになっていますし、将来的には、すべてのゲームにAIエージェントが搭載されるようになるのではないでしょうか。プレイヤーの好みに合わせて新作をおすすめしてくれたり、ゲームプレイ中に「このアイテムを使った方がいいよ」とヒントをくれたり。まるで隣で上手い友達がアドバイスしてくれているような……そんな体験ができれば、ゲームがもっと楽しくプレイできそう。

私はオンラインゲームがすごく好きでして、特にハマってプレイしているデジタルカードゲーム『MARVEL SNAP(マーベル・スナップ)』でも、やっぱり相手が人間だと面白いんですよ。でも、最近は相手がボットなのかわからないぐらい、どんどんAIが賢くなっていて。

『マーベル・スナップ』だと恐らく連続で負けると次は弱いAIとマッチングされるようになっているはずです。これはプレイヤーをただ負けさせてやる気をなくさせるのではなく、長くゲームを楽しんでもらうための誘導ですよね。プレイヤーをただ操るのではなく、長くゲームを楽しんでもらうためのAI活用は、すごく良いことです。

『マーベル・スナップ』

そして、そういった新しいAIの可能性だけでなく、新たな技術をを真っ先に切り拓いてくれるのが、インディーデベロッパーだと信じています。だからインディーゲームは面白いんですよね。

しかし、似たようなゲームばかりが並んでも面白くないですよね。ですから、先ほどお話ししたAIを活用した『噺の話』や、漢字だけで構成された『文字遊戯』のように、パッと見て「何これ?」と驚くような、オリジナリティのあるタイトルを絶対に見落とさないようにしています。それが、インディーゲームイベントを面白くする秘訣かなと思いますね。

――なるほどです。ちなみに、個人開発のインディーゲームといえば、最近Game*Sparkでも激推ししている“3D『ヴァンサバ』”なローグライト『Megabonk』はご存知でしょうか?

吉田氏:へー、初めて見ました!(※インタビュー実施日は10月5日)色々“ライク”系が出ている『ヴァンサバ』でも、まだ未開拓のジャンルがあったわけですね。


――10月3日には発売からたった2週間で売り上げ100万本も突破している、今注目のインディーゲームです。

吉田氏:『ヴァンサバ』ライク、良いですよね。でもオリジナルを散々やったからいいや、みたいな(笑)。でも勢いがすごいですね、今買っちゃいます。

『Megabonk』

――まさか目の前で吉田さんが『Megabonk』を購入しているところに立ち会えるとは……! そんな吉田さんは、ゲームにキャラクターとして登場されていることもありますよね?

吉田氏:はい、すごく嬉しいことに『スーパータイムフォース ULTRA』というゲームでPS版のみ追加のプレイアブルキャラクターとして出演しています。

各キャラクターは違う技を持っていて、私の技は「ツイート」です。「吉田がツイートするようなセリフをうんと送ってほしい」と言われたので、50個ぐらい書いて送ったツイートがランダムに出てきます(笑)。

――全部採用された感じですか?

吉田氏:ええ、そうです。でも、それは英語版の話で、日本語版はローカライズされてしまったんですよね。ローカライズ前に私に言ってくれれば、新たにツイートを用意したのに(笑)。あと、他にも様々なインディーゲームでチョロチョロ出ています。ぜひ買って遊んでみてください!

――これまで吉田さんが名前を挙げられたインディーゲームたちは、すぐにでも買ってプレイしたいところですね。筋金入りのオススメですし。

吉田氏:ありがとうございます。私もやっぱり、なんて言うか、信頼ある情報ソースにならなきゃいけないので、自分が気に入ったゲームしかオススメしないように注意しています。

――本日はありがとうございました!


吉田氏へインタビューも行ったGame*Sparkは、OIGS2025のメディアパートナーでもありました。会場の熱気が伝わる取材レポートを多数掲載しているので、ぜひあわせてご覧ください。

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イラスト制作:吉田 輝和,編集/ライター/インタビュアー:八羽汰わちは









イラスト制作/おじさんの絵を描くおじさん 吉田 輝和

20年近く趣味でおじさんの絵(自画像)を描いていたら、いつの間にかおじさんの絵を描く仕事をするようになったおじさん。「吸血鬼すぐ死ぬ」や「からかい上手の高木さん」など数多くの漫画に、自分でも知らない内にモブとして登場している。 現在はGame*Sparkや他メディアでおじさんの絵やゲームの絵日記を連載中。お仕事の依頼は吉田輝和ツイッターからどうぞ。

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編集/多趣味オタク 八羽汰わちは

はちわたわちは(回文)Game*Spark編集部員、デスク担当。特技はヒトカラ12時間。

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